今宵の君は
「・・十一娘…」
簪を外し、髪をおろした妻は
白い寝間着のまま暖閣で読書をしている。
読書に夢中になって私の声が聴こえなかったのか?
今宵の君の横顔は燈火に映えて格別に美しい。
・・・
もう一度君を呼ぼう
「十一…」
「お母様〜〜〜っ!!」
な、暖暖、どうした…
「暖暖、どうしたの?」
「虫がっ、寝台の傍に虫が居て怖いですう」
「大丈夫よ、父上にお願いしましょうね」
令宣渋々暖暖の寝室まで出向く。
「旦那様、ありがとうございます」
「いや、なんだ、あんな小さい虫をいちいち怖がるとは暖暖も軟弱だなハハハ」
「旦那様が居て下さって良かったです💕」
十一娘はにっこり微笑んで本を閉じた。
休むのかな?
今度こそ・・・
「十一…」
「お母様〜〜〜っ!😢」
「どうしたの?暖暖?」
「さっき諄兄様と誡兄様が怖い話を聴かせてやると言って来て下さいました…思い出すと怖くて眠れません…しくしく」
「分かったわ、暖暖今夜は一緒に寝てあげるわね」
「わーい(*^_^*)お母様ありがとうございます!」
え……
「十一娘…私は…」
「旦那様、今夜はお一人でゆっくりお休みになって下さいね」
・・・
諄と誡……💢
余程鍛えて欲しいらしいな…
明日を楽しみに待っておれ・・・
終
