我が家の仕事仲間に、
スレート屋さんがいました。
スレートとは、
住宅、工場や倉庫の屋根材料のことで、
工場では「波形スレート」が広く使われています。
波形スレートとは、
セメントと繊維を成形して作られた板状の資材で、
丈夫でコストパフォーマンスに優れますが、
フックが錆びてしまうと雨漏りの原因となるため、
定期点検が必要でした、
スレート屋さんは施工だけでなく、
大手の工場では定期点検も行いますので
その時の話です。
知り合いの業者の従業員が
千葉にある某製鉄所の屋根を点検していました。
製鉄所は常時、コークスを燃やしているために粉塵が多く、
スレート屋根の上は灰がかぶさりフックの確認が難しい状態でした。
スレート板はコンクリートでできており、
住宅と違い、桟(さん)の上において留めてあるだけです。
屋根の上で移動する際は
フックを目印にするのですが粉塵でおおわれていることが多く、
感に頼ざるを得ませんでした。
その時に事故が起き、
足の置き場を間違え
スレートをぶち抜き、
下の溶鉱炉の中に従業員が落ちてしまいました。
遺体は取り出すことはできず、
遺体なしの葬儀になりましたが、
この事故は2月、
4月にはご子息が小学校に入学予定でしたので、
奥様の悲しみは計り知れないものがあったと思います。
父親が葬儀に参列しましたが、
ご子息用にということで
私が電動鉛筆削りを文具屋に買いに行かされたことを記憶しています。