50代に入って、ふと立ち止まる瞬間がありました。
仕事のこと、子どものことを中心に回っていた日々が少しずつ落ち着いてきて、これからの時間をどう生きていこうかと考えたとき、私はある違和感に気づいたのです。


それは、「母」としての役割を、ずっと握りしめたまま生きている自分の姿でした。


子どものために、家族のために、ちゃんとした母でいなければいけない。そんな思いは、いつの間にか当たり前になっていて、自分の気持ちを後回しにすることにも慣れていました。本当は疲れていても、まだ頑張らなきゃいけない気がしていたし、手を抜くことにどこか罪悪感もありました。


でもあるとき、ふと思ったのです。
この役割は、いつまで続けるものなのだろうと。


子育てには終わりがあります。もちろん親子の関係は続いていくけれど、「母としての役割」はずっと同じ形ではないはずです。それなのに私は、もう必要がなくなり始めている役割まで、大切に抱え込んでいました。


少し勇気を出して、その役割をゆるめてみることにしました。すべてを手放すわけではなく、少しだけ距離をとるような感覚です。すると、不思議なことに心が軽くなり、これまで見えなかったものが見えてきました。


自分はどうしたいのか。これから何を大切にして生きていきたいのか。


そんな問いが、自然と浮かんできたのです。


今までの私は、「誰かのため」に時間を使うことが当たり前でした。でもこれからは、「自分のため」に時間を使ってもいいのだと思えるようになりました。何か特別なことをしなくてもいい。ただ、自分の気持ちに正直に過ごす時間を持つ。それだけで、こんなにも心が満たされるのだと知りました。


人生を軽くするスイッチは、意外とシンプルです。やらなくていいことをやめること。背負いすぎている役割に気づくこと。そして、少しだけ手放してみること。


それだけで、暮らしも心も驚くほど軽くなっていきます。


「母」としての役割を脱ぐことは、決して何かを放棄することではありません。それは、自分の人生をもう一度取り戻すということ。


これからの時間は、誰かのためだけではなく、自分のためにも使っていい。


そんなふうに思えたとき、人生はゆっくりと、でも確実に軽くなっていくのだと思います。


そして2026年4月からは、沖縄タイムス週刊ほーむぷらざにてコラムの連載もスタートします。
これまで現場で感じてきたことや、暮らしを軽くするヒントを、言葉として届けていけることになりました。


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