呼吸をするように家事をする。

それは、一歩一歩、前に進む感覚。


時にはリズムよく、

時にはゆったりと。

そして、無心で。


洗う、拭く、整える。

その一つひとつの動作に、心が静かに整っていく。


毎日コツコツ。淡々と。

やっとそれが今の年になって、分かった気がします。



20代のころ、イギリス留学中に老人ホームで

お掃除やお洗濯、食事の給仕のアルバイトをしていました。


リネンやハンカチだけでなく、

ほとんどすべての衣類にアイロンをかけることが仕事の一つ。

なんと、紳士用のアンダーショーツにまで。


なぜ全てにアイロンをかけるのかと同僚に尋ねると、

「イギリスは雨の日が多く乾きが遅かった昔むかし、

湿って乾ききれない服を乾かすためにアイロンをかけていたの。

その風習が、乾燥機がある今でも続いているのよ。

とはいえ、今は時間に余裕のあるお年寄りくらいだけどね」

と笑いながら教えてくれました。


「そうだよね。

全てにアイロンをかけていたら、時間がいくらあっても足りないわ」

そのころも、そして今までもそう思っていました。


でも53歳になった今、

家事に対する気持ちが少しずつ変わってきたのです。


アイロンをかける時間を“とりたい”と思うようになりました。


まずはシャツや食器拭きの布巾から。

丁寧にアイロンをあててみると、

くしゃくしゃのまま使っていた布巾が

ピンと背筋を伸ばしたように感じられました。

まるで、紳士のように。




今、忙しくて「とりあえずイヤイヤ家事をしている」時期は、

誰にでもあると思います。


だから、効率のいい家電に頼るのもいい。

アウトソーシングするのもいい。

時には目の前の現実を、ちょっと無視してもいい。


それでいいんです。


年齢を重ねていくと、

あんなに面倒だった家事が、

いつかきっと、愛おしく感じられる時がやってきます。


その時その時が、正解。


暮らしのペースも、家事のリズムも、

自分の呼吸に合うように整えていけたら、それがいちばん。


コツコツ。

ゆっくり。ゆっくり。

淡々と。




クリスマスパーティーでの一枚🎉

懐かし思い出。


たくさんの大事なエッセンスを学びました。