「昔ある建築家が言いました。

家は暮らしの宝石箱じゃないといけないと。」


穏やかで深く温かな樹木希林さんのナレーションから始まる、

90分のドキュメンタリー映画『人生フルーツ』。


建築家の津端修一さん90歳

奥様の英子さん87歳

風と雑木林と建築家家夫婦の物語。


観終わってからも、心の奥にじんわりと残る余韻が

静かに長く続く。

そんな映画でした。


映画の中で語られる言葉たちはどれも美しく、

まるで詩のように心に響きました。


昔ある建築家が言いました。

長く生きるほど、人生はより美しくなる。

すべての答えは、偉大なる自然の中にある。



修一さんと英子さんの畑やお庭には、

沢山の植物、お野菜、果実がたわわに実ります。


それぞれの植物には修一さんが英子さんの為に手作りした黄色のプレートがあります。


たけのこ、こんにちは。

プラム、春ですよ。

ノウゼンカツラ、赤いお花のトンネルをお楽しみに。


暮らしの一つひとつが、自然とともに呼吸しているようでした。


風が吹けば枯れ葉が落ちる

枯れ葉が落ちれば土が肥える

土が越えれば果実が実る

コツコツ ゆっくり。


手をかけ、時間をかけ、季節を感じながら生きることの豊かさ。

派手さも効率もいらない。

「出来ることからコツコツ」「時をためてゆっくり」

その姿勢こそが、まさに「人生を耕す」ということなのだと感じました。


上映されていたのは、沖縄の小さな映画館「シアタードーナツ」。

カフェのような温もりのある空間で、

この映画はなんと8年間も上映され続けているのだそうです。


オーナーさんが上映後にこうお話ししてくださいました。

「沖縄県民みんなが見終えるまで上映を続けようと思い、8年が経ちました。

残念ながら、道路拡張のため来年この建物は取り壊されます。

それまでどうぞ多くの方に、この映画の素晴らしさを伝えてください。」


この言葉にも胸が熱くなりました。


自然と人、暮らしと時間、そして愛。

『人生フルーツ』は、

「丁寧に生きる」という当たり前のようで忘れがちなことを

優しく思い出させてくれる映画です。


もしまだご覧になっていない方がいたら、

ぜひ沖縄・コザの「シアタードーナツ」で体験してみてください。