本日のテーマ
【心の支えが希望をつくる】
人は、生きていく上で、心の支えが必要です。
心の支えがあるからこそ、希望が持て、生きがいを見出せるのでしょう。
しかし、もしもある日突然、心の支えを失ったとしたらどうなるでしょう?……
神経科医であり、精神科医である、ユダヤ人のヴィクトール・エミール・フランクルは、第二次世界大戦中、ナチスの強制収容所で苦しみの経験を著書にしました。
著書『それでも人生にイエスと言う』の中で「心の支え」の大切さに触れ、このように語っています。
「人が心の没落するままにまかせてしまうことはいつ起こるのか。それは、心の支えを失くした時だ」
強制収容所では、日々仲間がガス室に送り込まれ死んでいっている。
そして極寒の中、満足に食べ物を与えられずに強制労働を強いられる。
支えなど何もなく、将来のことを考えるのも難しい状況。
なんの手がかりもなく、終点がない。
私たちは、重犯罪者のことを羨ましく思った。
押しこみ強盗は、自分で十年間刑に服さなければならないことを知っている。
釈放の期日まで、あと何日過ごさなければならないことを計算することもできる。
何と幸運なんだろう……。
収容所では、だれもかも、「期日」がなかったし「期日」を知らなかった。
だれもがいつ終わるか知らなかった。
それが、ひょっとすると、収容所生活のなかで一番気がふさぐ事実の一つであったというのが、仲間の一致した証言だった。
アウシュビッツの強制収容所。荷物棚のような寝台にぎゅうぎゅう詰めで寝かされていた…
強制収容所の絶望の状況の中で、耐えながら生きぬいた人たちは、
「心の支えを見出すことができた人である」
ということを聞いたことがあります。
自分は生き残れる…
愛する人に会える…
いつか戦争は必ず終わる…
神は我を見捨てない…
心の支えが、いかに人生で大切であるかということが理解できます。
わたしは、この著書を読んだとき、自分がどんなに困難な状況に置かれていても、
「強制収容所の体験者よりは厳しい状況にはない!」
と言い聞かせ、心の支えを大切にして困難を乗り越えようと痛感するのでした。