本日のテーマ 

【お金に代えられない価値ある財産】

 

 

わたしの日課に毎朝の瞑想がありますが、そのときにいつも自身の身体に対し、こんな感謝をします。

 

「昨日も健康でいていただきありがとうございました。本日も健康でいさせて下さい」

 

自分の身体にあいさつするなんて? と思われるかもしれませんね……。

 

 

若い頃の交通事故の経験からです。

 健康であること…

 生きていること…

が、とてもありがたいと思えるのです。

 

こんなわたしの思いと同じことを言っているスペインの民話がありますので紹介いたしましょう。

この物語は天使が乞食の姿になって現れます。

 

いつもよく働く靴屋(くつや)のもとへ、あるとき天使が現れました。乞食の姿になって……。

 

 

 

 

靴屋は乞食の姿を見ると、うんざりしたように言いました。

「おまえが何をしに来たかわかるさ。しかしね、ワシは朝から晩まで働いているのに、家族を養っていく金にも困っている身分だ。ワシは何も持っていないよ。ワシの持っているものは二束三文のガラクタばかりだ」

そして、嘆くように、こうつぶやくのでした。

「みんなそうだ、こんなワシに何かをくれ、くれと言う。そして、いままで、ワシに何かをくれた人など、いやしない……」

 

乞食は、その言葉を聞くと答えました。

「じゃあ、私があなたに何かをあげましょう。お金に困っているならお金をあげましょう。いくらほしいのですか。言ってください」

靴屋は、面白いジョークだと思い、笑って答えました。

「ああ、そうだね。じゃ、100万円くれるかい」

「そうですか、では、100万円差し上げましょう。ただし、条件が一つあります。100万円の代わりにあなたの足を私にください」

「何!? 冗談じゃない! この足がなければ、立つことも歩くこともできやしない。やなこった、たった100万円で足を売れるもんか」

 

乞食はそれを聞くと言いました。

「わかりました。では、1000万円あげます。ただし、条件が一つあります。1000万円の代わりに、あなたの腕を私にください」

「1000万円……!? この右腕がなければ、仕事もできなくなるし、可愛い子どもたちの頭をなでてやれなくなる。つまらんことを言うな。1000万円で、この腕が売れるか!」

乞食は、言います。

「そうですか、じゃあ、1億円あげましょう。その代わり、あなたの目をください」

「1億円……!? この目がなければ、この世界の素晴らしい景色も、女房や子どもたちの顔も見ることができなくなる。ダメだ、ダメだ、1億円でこの目が売れるか!」

 

すると、乞食は靴屋をじっと見つめて言いました。

「そうですか。あなたはさっき、何も持っていないと言いましたけれど、本当は、お金には代えられない価値のあるものをいくつも持っているんですね。しかもそれらは全部もらったものでしょう……」

靴屋は何も答えることができず、しばらく目を閉じ、考え込みました。

そして、深くうなずくと、心にあたたかな風が吹いたように感じました。

乞食の姿は、どこにもありませんでした。

 

 

この民話は、

「本当に価値ある財産とは何か?」 

を教えてくれていると、

わたしの心は、そう感じたのでした。