山形・置賜の蔵元さんにお邪魔させて頂いた数日後、富谷市にある蔵元さんへ。



「鳳陽」醸造元 内ケ崎酒造店さんにお邪魔させて頂きました。
▷▷▷ 「鳳陽」WEB


前回 伺ったのは2009年10月(下記リンク参照)
▷▷▷【ふらっと蔵探訪・第18弾】鳳陽編
あれから 8年…造りの内容、体制  いろいろ変わっているのでしょうね。



朝8時到着。蒼々とした緑色の杉玉が目を引く正門」。
昨年 市制移行した富谷は仙台のベットタウンという性格を持ち合わせる一方、藩政時代は出羽街道と松島道の分岐点でもあり、交通の要所でもありました。
内ケ崎酒造さんが蔵を構える一帯にはいまなお宿場町の雰囲気が色濃く残っており、昔からの酒造りの息吹が感じられます。



寛文元年(1661年)創業。350年以上の歴史を刻む宮城県最古の造り蔵です。酒名は唐の李善感の故事「鳳鳴朝陽」にあやかり、家運盛隆を願って名づけられました。





今回 ご案内してくださった次期 16代蔵元となる内ケ崎 啓さん

山形の「出羽桜」で2年間修行した後、蔵入り。現在 麹担当として日々格闘中の29歳。今月末には30歳を迎えられるそうです。

「仕込みがもう始まっているので 早速蔵の方に」と案内され、足早に蔵へ。



釜場では原料米の「蒸し」作業が始まっていました。
昨日洗っておいた原料米を準備し、釜に火を入れるのが朝の6時。1時間程すると蒸気が上がり始め、そこから1時間程蒸し上げられます。
私達が到着した時点でちょうど「蒸米」作業が完了したというタイミングでした。



釜場一体にモクモクと蒸気が上がって、数百キロの米を蒸す光景はなかなかの迫力。
高温の蒸気で米を蒸すので、一歩間違えれば火傷をしてしまう危険な作業です。

内ケ崎酒造店さんの蒸米は“和釜”にこだわるとの事。
「“宮城最古蔵”という伝統と歴史があるので、昔ながらの道具を大事に使っていきたいんです。近頃はボイラーを使う蔵が多くなってきましたが、和釜の蒸気はボイラーに比べ、最初はあまり温度が高くなく、お湯が減るにつれて徐々に水の沸点が上がり、乾燥蒸気になります。水を吸わずに加熱する乾燥蒸気によって表面は硬く、内側はふっくらしっとりとした“外硬内軟” の蒸米に仕上がります」と啓さん。



蒸された米は長い箱状の「放冷機」を通りながら冷まされ、それぞれ目的とする場所へと運ばれていきます。



出来上がった蒸し米が目的とする温度まで冷えたら、布袋に包み、麹造り専用の「麹室(こうじむろ)」へ。
蒸し米の温度が下がり過ぎないよう、蔵人さんはダッシュ!ダッシュです!



こちらが麹室。



レトロな雰囲気漂うレンガ造り。扉上部には“大正十年十月吉月” “昭和37年”と、室が完成した日と改造された日付が刻まれています。



再び釜場へ。
今度は醪(もろみ)造りに使う蒸し米の作業。



ちなみにこの日の蒸米作業は、先程の「麹」米用と、醪造りの「初添」用掛米、「仲添」用掛米の3種類。



それぞれ役割の違う米は、和釜の中で布で区切られ、3層式にしています。
積み重ねた蒸し米の重みで、表面はかなり硬い!!なので上のようにスコップを使って掘り出しながらの作業が進められます。









出来上がった蒸米は硬めで かなりの弾力。


続いて麹室作業。
室温40℃(※本年度から)に設定しているため かなり蒸します。部屋に足を踏み入れた途端、一気にファインダーが曇りました。
まさか麹室の作業まで見せて下さるとは思っていなかった我々は、防寒対策120%の超厚着で伺い、アタフタしてしまいました(苦笑)



「種切り」開始。蒸米を麹に変える製麹作業です。
“もやし”と言われる種麹を専用の篩(ふるい)を使って、お米全体に行き渡るように撒いていきます。



「うちはもやしの量が多いんです」と啓さん。
確かに放冷機の出口で一旦 杜氏さんが種切りし、その後運ばれたこちらの部屋でもかなりじっくり、密に、麹を振っている印象を持ちました。蒸米の麹室での滞在時間も多め。
特に本醸造・純米酒に関しては、“味が多く乗るように”とのこと。目指す酒質によって、向き合う時間も異なってくるわけです。


この麹室での作業は現在、啓さんお一人で担当しており、夜は2時間おきに起き、温度と麹米の状態を確認する日々が続いているそうです。
「自動製麹機もありますが、結局ある程度の工程は人間がチェックをしなければならないし、機械に合わせて人間が動くような側面もあります。正直もっと手をかけたい箇所もありますが、夜の見守りなどの労働時間も含め、そろそろ“うちのあり方”を考えなくてはいけない時期にきているかなと感じています。」




種麹を振りかけた蒸米は、温度が下がらないよう山形に盛られ、乾燥防止用の布をかけてしばらく放置されます。


こちらは麹室に入って3日目。“出麹”待ちの純米大吟醸 蔵の華40%。
お米の表面が白くなっているのが確認できると思います。





同じ頃 麹室の外では洗米が行われていましたが、
私は室に残って 啓さんに酒米の話しなどを質問していたため タミング的に撮影できませんでした。



今回の蔵見学を通し一番印象に残っているのは、啓さんの酒造りに対しての前向きさです。“体当たり”で実践し、試行錯誤をしながら少しずつ進化している…そんな印象を持ちました。



実践のひとつでもあるのがコチラ↑↑のお酒。
「甘口純米酒 鳳陽 甘彩(あまいろ)
日本酒度-9度。どっしりとしてコクのある、超甘口の純米酒。
ラベルデザインは啓さんの同級生にお願いしたそうで、従来のラインナップにはないスタイリッシュなイメージ。ステキですよね!
 

今後も若い力で、新しいコトにどんどんチャレンジして欲しいですよね!



最後は恒例 集合写真!!
啓さん 造りのお忙しい中  長時間本当にありがとうございました!!


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