芸能事務所とタレントとの間の契約も独占禁止法の規制対象になることが公正取引委員会(有識者検討会)の最終報告に盛り込まれる方針であるとの報道がなされています
引用元:毎日新聞ウェブサイト
https://mainichi.jp/articles/20180202/ddm/012/040/085000c
公取委の検討結果で、芸能界における移籍制限や引き抜き防止が独占禁止法の禁止する優越的地位濫用として規制対象になるという最終判断が示された場合、タレントにとっては実際どのような影響が生じるのでしょうか?
まず現状において、芸能事務所がタレントに不当な行為をした場合、タレントにとって争う主な法的手段としては4つあります。しかし、それぞれにデメリットがあります
手段 | デメリット |
任意交渉 | ・芸能事務所に無視される ・交渉が長期化する |
訴訟 | ・公開の法廷で行われる ・1年以上の期間を要する |
仮地位仮処分 | ・あくまで仮の処分 ・担保金が必要 |
調停 | ・芸能事務所に対する強制力がない |
なお、全ての手続きに共通するデメリットとして
あくまで弁護士等の私人による調査権限しかない
ということがあります
それぞれの手段はいずれも時間がかかり、強制的な調査権限がありません
しかし、芸能事務所の不当な圧力が独禁法の規制する優越的地位濫用の対象となればタレントは『不当な圧力が独占禁止法違反だ』として公正取引委員会への申告(独禁法45条1項)という法的手段を採ることができます
手段 | 特徴 |
公正取引委員会 への申立 |
・公取委には調査権限あり ・手続は非公開 ・排除措置命令 ・課徴金納付命令 ・平均処理期間が約36日(平成28年) |
任意交渉 訴 訟 仮地位仮処分 調 停 |
・証拠収集は当事者の自己負担 ・数か月~1年以上の期間を要する |
公正取引委員会には立入検査等の調査権限がありかなり強い権限があります
また、平均処理期間が極めて短いというのも早期の芸能活動再開に繋がりタレントにとっては魅力でしょう
事務所トラブル解決のための手段が増える
という大きなメリットに繋がると思われます
私の見解ではありますが
・ギャラ(報酬・給料)の一方的引下げ
・移籍の際に芸名の継続使用を禁止すること
・事務所を辞めさせないために不当な圧力を加えること
これらは優越的地位濫用に該当すると考えられます
詳しくはこちらのブログをご覧ください
私の見解の詳細については新聞等で追々公開される予定です
公取委の発表次第では芸能界に大きな影響があると思われます