タレントさんが芸能契約解除を認めてもらう有効な手段として
を紹介させていただきました
芸能トラブル関連でかなりご質問を受けることがあるので
私の経験をもとに少し踏み込んだ情報をご案内しますね
ちなみに同業弁護士の方からは
『申立の趣旨は?』『提出すると有効な証拠は?』『双方審尋は何回位?』『WEB削除の別紙形式って何?』という質問が結構多いのですが
今回はあくまでタレントの方向けの内容です
芸能契約解除の仮処分についての Q&A
Question 1
裁判所の判断が出るまで期間はどれくらいですか?
【回答】
仮処分の申立をしてから1ヵ月~4ヵ月くらいが目安になります
Question 2
判断までの期間は何によって変わるのですか?
【回答】
争点の数や証拠の量によって変わってきます
【解説】
・早期に裁判所の判断(決定)を得るために、未払賃金があってもあえて未払賃金を主張しない戦略もあります
・どのような戦略をとるかは担当弁護士の経験や知識次第です
・担当裁判官にも芸能トラブルを扱ったことがないという裁判官は少なくありません。そのような場合には弁護士が率先して他の事例や業界慣行を説明していく必要があります
Question 3
仮処分に勝訴するとどうなるのですか?
【回答】
・裁判所から「契約関係にないことを仮に確認する」という内容の決定書(訴訟の場合に判決に該当するもの)が交付されます
・決定書は新しい事務所に移籍する際の1つの証拠となります
・事務所のHPから削除を求めている場合、決定書があれば「事務所がHPから削除しない場合には1日あたり〇円払え」という強制執行に進めることができます
Question 4
仮処分の費用として何が必要ですか?
【回答】
①申立手続費用
②担保金
③弁護士費用
が必要となります
【解説】
①申立手続費用は2000円(印紙代)と300円前後(郵便切手代)
②担保金は20万円~40万円
③弁護士費用は5万円~
・担保金はほとんどのケースにおいて最終的に返金されます
・著名タレントの場合には担保金の額が上がります
・著名ではないタレントでかつネット上の削除を求めない場合には担保金0円のケースもあります
Question 5
相手方芸能事務所にはいつ知られますか?
【回答】
仮処分申立⇒裁判官との面接⇒裁判所から相手方への郵送
【解説】
・東京地裁では、裁判所に書面申立をしたのち裁判官と1度面接をします
・この面接には弁護士が行きますので、タレントご本人は裁判所に行く必要は原則ありません
・その後、裁判所から相手方芸能事務所に郵便で送達され、相手方事務所はこのタイミングで申立を知ります
・申立から郵送までだいたい2週間前後でしょうか
Question 6
相手方事務所以外のマスコミなどの第三者に知られることはありますか?
【回答】
理論上(法律上)はマスコミや相手方事務所以外の第三者に知られることもあるのですが、実際に知られた事例はほとんどありません
【解説】
・東京地裁では仮処分の場合1階フロアに氏名が貼りだされることはありません
・法律上は第三が閲覧可能な場合もありますが、そもそも相手方以外の第三者が仮処分申立ての存在そのものを知る機会はほとんどないため、実際記録が閲覧されることはほとんどありません
・氏名や住所等には閲覧制限という方法もあります
というわけで、今回はよくいただく質問について回答させていただきました
弁護士の中でも芸能関係の仮処分はやったことないという方は少なくありませんが、芸能関係の仮処分は弁護士が率先して戦略を立て、ときに裁判手続を主導することが特に重要です
というわけで経験豊富な弁護士に依頼すると安心ですね
今回は一度ここまでになりますがQuestion7以降の続きについても、時間を見つけて書きますね(^^♪
写真は昨年じっくり聞いタロウに出演したときのです
今回は弁護士業界でもほとんど知られていない芸能トラブルの解決手段について大暴露ですね