今年も、有名なタレントさんの移籍問題がニュースになりました
その際によく話題になるのが『芸名の権利』
昨今、著名なタレントさんが移籍後に芸名を変えたということもあり『芸名は誰の権利なのですか』という質問をいただくことが多々あります。
実際先日のERAシンポでも芸名について触れた部分がヤフーニュースに取り上げられました。
そこで今回は『芸名の権利』について少し詳しく書いてみたいと思います。
そもそも
芸名に法的権利はない
芸名には所有権もなく「そもそも法的権利なのか?」という問題があります。
まず、日本の法律には「芸名権」というものは存在しません。
ただ、例えば「美空ひばり」と言えば誰もがイメージでき、「美空ひばりプロデュース」と名前が付けば人々の興味を引くわけで芸名には経済的価値があります。
なので、タレントが移籍する場合には、元いた芸能事務所とタレントとで芸名の取り合いになるわけです。
事務所『事務所がお金や業務を投資して育て上げた芸名を持ち去られるのは認めがたい
』
タレント『私の芸名なんだから当然私の権利でしょ
』
ということになります。
では
契約書の規定は
芸能契約書では
「芸名についての権利は事務所に帰属する」
となっていることが8割以上でしょうか。
残りの2割についてもタレントの権利となっていることは皆無で、芸名について定めがないという場合がほとんどです。
そうすると契約書によると芸名は事務所の権利ということになりそうなのですが、実はこれには裏技があります
裏技
芸名の商標出願
芸名を特許庁に商標出願してしまうという方法です。
商標というと普通は「SONY」とか「PRADA」等の会社名やブランド名をイメージすることが多いかと思いますが、芸名についても商標出願が可能です。
実際、元モーニング娘。の「加護亜依」は商標登録されています。
特徴1 商標登録は出願の早いもの順
商標出願は特許庁に願書を提出するのですが、初期費用は最小では1万ちょっとでも可能です。
出願から大体半年位で登録され、登録料を支払うと証書がもらえます。
特徴2 出願後は誰でもネット検索が可能
商標出願して1月程度すると特許庁のホームページで誰でも出願状況を検索することができるようになります。
ただ、あえて商標検索され商標出願したことが知られてしまうとういことはほとんどありません。
このように、タレントが事務所とトラブルになりそうなときは、先に 『芸名を商標出願』して芸名の権利について先に取得してしまうというのが一つの方法だったりします。
そうすると、事務所側が何と主張しようとも『特許庁により私の権利と明示されてます』とは言えるわけですね。
もちろん
芸能事務所からの商標出願も可能
芸能契約の中に「芸名についての権利は事務所に帰属する」等の文言があれば、芸能事務所側の商標登録が認められる場合もあります。
私は芸能事務所からの相談を受けることも少なくないので、事務所側を代理して芸名の商標出願することも多々あるのですが、この場合には意見書の提出や補足資料の提供
を求められる場合があるので、タレント側ほど一筋縄ではいかないことがあります。
芸能事務所側で出願する場合には、特許庁の審査官とのやりとりが必要になることから弁護士や弁理士に依頼したほうが確実かもしれません。
簡単ではありましたが、芸名のお話でした