普遍性。
全ての物事に通じる性質。
著者のインタビューでは、人間の普遍性。
全ての人に当てはまる性質をテーマにしていると言われていた。
描きたい普遍性を短く紙に書き出してそれが納得出来たら、そのテーマを最も表現しやすい設定を考えるという手法で執筆されているという。
buriedは埋葬されたという意味。
giantは巨人。
この物語のストーリーでは巨人のメタファーは記憶。
忘れ去られた記憶、あるいは葬り去られた記憶。
忘れ去られたと、葬り去られたでもかなりニュアンスが違うが著者はburiedをチョイスしている。
物語を読み終えてから考えてみるとなるほど、buriedのほうがしっくりくる。
憶えている行為、忘れる行為。
一見、憶えている行為の方が素晴らしく思えるが、人と人との間にはこの二つの行為が複雑に働きメリットにもデメリットにもなる。
友人、親子、民族、国家。
１人の人生の中でも、1000年の人々の歴史の中でも・・・。
カズオ・イシグロ 63歳
人の脳ミソはたった63年でこんな物語を書けるようになるものなのか。