天見山-達磨山(中川町)ー2021.9.18 | 道北ヤブ山日記

天見山-達磨山(中川町)ー2021.9.18

天見山-達磨山(中川町)ー2021.9.18 (単独)

 

天塩山地のピークも2山を残すだけ。

その2山とは安平志内川流域にある天見山と達磨山という名の低山。

車で入れない林道、道北らしいヤブ、山頂までの難しいルート取り、そしてヒグマの巣窟地帯。

低山と言えど侮るなかれ。本当に気乗りしない山なのだ。

 

現に南の茶古志内山でヒグマと鉢合わせてしまい、登るなら一泊で積雪期と考えていた。

しかし今年は道道が開いている情報があり、勇気を出して計画することに・・・。

 

さて、問題はルートである。

ワッカウエンベツ川沿いの長い林道を除外すれば、天見川沿いか、濁川沿いの林道しかないだろう。

確実性を優先して、距離の短い濁川沿いのルートに決めた。

 

濁川に向かう道路上に、いきなりヒグマがウロついており、メンタル面でカウンターパンチを食らう。

これからヤツらの巣窟に単独で立ち入ることを考えると萎えるわ。これ。

 

濁川の林道は道道から1km程度でゲート、チャリンコで出発。

僅か500m程度で林道が荒れ、チャリも通過不能。前途多難な予感。

 

林道跡は獣道が続いていた。

獣道は鹿よりもヒグマの足跡が多く、大グマから子グマまでも大きさも方向も様ざま。

瑞々しいものが多く、一体どれだけの往来があるというのか!

 

足跡は見たくないと、堪らず沢に降りる。

両岸が土壁でドロドロとなっている箇所も多く、ドブのような汚れた感じの沢相。

正に濁川そのものだ。

 

狭い沢中もヒグマの足跡だらけで心臓に悪い。

210m二股は右股を取り、天見山に向かう沢筋に入る。

 

いつヤブ漕ぎになるか冷や冷やだったが、Co450まで沢形が続いてくれて助かった。

 

Co500で稜線に出る。

北側の偽ピークを越え、結構な急斜面を攀じ登ると山頂となった。

 

樹林に囲まれた天見山山頂。三角点は無い。

北西斜面は10m程の断崖となっているが展望は得られなかった。

 

少し移動すると北側の展望が開けて達磨山が見えた。

精神的ストレスにより、やけに遠く感じ、引き返したい気持ちの方が強い。

日を改めても状況は変わらないはずなので、頑張って行くしかないか・・・。

 

山頂から北西に向かって適当に尾根と沢を繋ぎ、ワッカウエンベツ川を目指す。

意外にヤブが薄くて、順調に下ることができた。

 

ワッカウエンベツ川は大きな川で、川幅一杯の流れだった。

 

オイオイ、デカいゾ、これは。

 

Co250で頭上に橋が出現、その名も熊越橋。

橋を渡って達磨山へ林道跡に延びる獣道を歩く。

 

達磨山はヘンテコな地形で、どのように取り付くのがBESTか分からない。

林道が大きくカーブする辺りで適当に尾根に取り付いた。

 

蔓絡みの酷いヤブに苦しめられ、剪定鋏を使って地道に進む。

棘の植物が刺さり、アブに背中を噛まれ、スズメバチにも睨まれ・・・。

ヒグマ以外にも恐ろしい時間が続いた。

 

気力だけで遂に達磨山山頂到達となる。

山頂展望なし、三角点もなし。登頂の喜びも特になし。

地形図では北側が50m以上の崖斜面の記載となっているが、山頂からは全然確認できなかった。

早く安全地帯に戻りたいので、早々に山頂を後にする。

 

天見川への長い林道がこれまた酷い。

熊越橋から先でヤブ被り、そして崩壊、最後は消失して右往左往。

Co350で再び復活するも林道とは思えないヤブ漕ぎが続いた。

 

遂には我慢ならず、△363より東に向かって斜面を下る。

この斜面がこれまた酷い(涙)。蔓だらけで前進できないのだ。

登山なのか我慢大会なのか・・・・。

泣きそうになりながら、やっとの思いで小さい沢形に出た。

 

小さい沢形の中で待っていたのは・・・・・。

獣臭が漂い、すぐ前を歩いているのは間違いない。

最後まで大声、ホイッスル、そして4連鈴を鳴らしまくるしかなかった。

 

一日続いたストレス山行もいよいよ終焉、やっとの思いでゲート到着だ。

いやいやそれにしても大変な山行だった。

登山というよりも、タダの肝試しのようなものだった。

 

今回で天塩山地全山踏破である。

しかし記念すべき山行を終えた喜びよりも、安全に戻れた安堵感が上回った。

もう今後この山域に入らなくて良いのだ。

 

ルートです。

注意!ヒグマだらけです。

 

 

翌日は早朝から登山仲間と十勝幌尻岳を予定しており、下山後に中川から帯広へ。

南北縦断で寝る暇もないが、ヒグマの恐怖に比べれば運転なんて気楽なものである。