Zoomレッスンと対面レッスンを両方組み合わせてやっています。

その時に、たまたま、話がでたので、そのことを少し。

私がハウマナに、髪の毛を伸ばしている人に、

「なぜ、髪の毛を伸ばすのか?」
という質問をしたところ、
ほぼ100パーセント近くの人が、
「髪の毛にはマナが宿っているから」
という答えをしてきた。
 
では、その情報源はどこか?と改めて訊くと
「・・・というふうに、いままでのフラの先生から聞いた」
とか
「・・・と、言われているから」
とか。
その情報源の根拠が曖昧だ。
では、フラを教えている先生にお尋ねしたい。あなたのその情報源は、誰からですか?
 
違う言い方をするなら、
「マナは髪の毛に宿っているから、フラをやる人は伸ばさないといけない。切ってはいけない」という日本での定説的な話は、ハワイでは本当なのか?ということです。
 
日本では、フラスカート(Pa'u 日本ではパウスカートと言われますが)は洗っちゃダメ、というところもあるようですが
私がハワイに住んでいた時、みんな普通に洗っていました。たしか以前のブログにも書いたかな?
イプヘケは、Kumu以外触っちゃダメ、とか、パフドラム(Pahu)は触っちゃダメとか。ってのも、同類。
答えは、マナが宿っているから、とか、とても神聖なものだから、というもの。
だから、カヒコは霊的な力が強いから、怖い、とか恐ろしいのだ、という、意味不明なことを言う人もいますね。
 
私は楽器を作っていますが、平気に作っていますし、作ったものに、そこに神的な力が宿っている、と言うことではありません。
ただ、そういう気持ちも、わからなくはない。です。
それは使っている人が毎日、毎回使っていて、愛用していたら、情が入りますよね。いつも身に着けていたもの、と言う意味で。
 
神聖な、と言うことに関しては、
フラが、弦楽器が存在しない、打楽器だけ(イプヘケやパフ)のリズムで踊っていて
今では、それが、いわゆるカヒコ(Kahiko 古代の)スタイル、ということなのですが、
そこで使われる楽器は、フラのための神事の1つとして、行われて、神事に使われる神聖な楽器、と言う流れでしょうね。
でもハワイでも、古来の楽器は、古来の楽器として大切にしますが、そこに、マナは?どうでしょうか。
日本で神楽(かぐら)、雅楽の楽器は、神聖とはいえ、裸になって身を清めないと触っちゃだめ、ということはありますかね???
 
自分が大切にしている楽器を、他の人に触ってほしくない、という気持ちがあるかもしれませんね。
とても大切にしているウクレレを、振り回されて壊されるかもしれない、と思ったら、触ってほしくないです。
マナが宿るか宿らないかは別として。
 
Manaとは、ハワイ語の辞書(Mary Kawena Pukui)の解釈によると
 Supernatural or divine power, mana, miraculous power; a powerful nation, authority; to give mana to, to make powerful; to have mana, power, authority; authorization, privilege; miraculous, divinely powerful, spiritual; possessed of mana, power. 
と書かれています。神がかり的な力、、霊的な力、超自然的な力、ということになるわけですね。
 
その、神がかり的な力が、髪の毛に宿っていたとしたら、じゃあなぜ、髪の毛は洗っていいの?
神の力を毎日洗えるのか?
この整合性は全くない。根拠に乏しい。
 
何か物があって、それに神がかり的な力があるから、とても大切にしなければならない、という流れはわかります。
これは、神様の御前で、お祓いを受けたお守りだから、これを持っていれば、ご加護が頂ける、ということで、
まあ、私自身、たくさんお守りをもっていますが。
 
この壺には、ものすごい幸運をもたらす力があるから、これを買って大切にすれば、金持ちになります。
というのと同じロジック、かもしれません。
 
でも、それ以前に、前提条件として、
「自分の髪の毛には、神がかり的な力が本当に宿っているのか?」
というところです。
本当に宿っていたら、切っても、洗っても、だめかもしれません。人前に見せるのも、ダメかもしれません。
日本人の女性が髪の毛を非常に長くして、結っていたのと同じ。
男性が、髪の毛を長くして、髷(まげ)をつくっていたのと同じ。
これが伝統だから。
髪の毛は女性の命。というのは日本もハワイも同じだったようですね。
 
で、じゃあ、そこに霊的な力が、ある、ない、って話ですが、
強大な指導者やリーダーのご加護を得るために、その人のものを身に着けたり、
動物の骨、たとえば、サメの歯(Niho Mano)をレイにして身に着けたり、タトゥを入れたり、
フラでいうと、Lakaのご加護に対して、レイを作り、体に纏い、自然に感謝をする。
人間でいうと、自分のアリイの力をもらうのに、その人が身に着けていたものを形見としてもらう、
その人の、歯、骨、髪の毛、をレイにして纏う、ということですね。
つまり、霊的な力とは、自分自身にあるのではなく、対象とするもの、人、が持っているものです。
カメハメハ大王(一世ともいう)が、その屍を誰の手にもわたらないように、埋葬し、
現在もそれがどこにあるかわからないのですが、
それは、カメハメハの力がだれか人の手に渡った場合、
その後の世界を支配するぐらいの強大な力を持ってしまうことを恐れたわけです。
 
ハワイのハーラウに所属しているフラダンサー、やハウマナ達は、髪の毛が長いですね。
とても長くする人もいます。なぜ髪の毛を長くするのか?
フラの基本はカヒコでもあり、アウアナでもあり、基本的に両方。
服装、身なりを清潔にすることは、ハワイ人の基本であって、それがハワイのトラディショナルです。
昔からのハワイ人の写真を見ると、みんな、服装がしっかりしていますし、小ぎれいにしています。
アロハシャツをラフに着て、浮かれているのは、日本人観光客ぐらいでしょう。
 
髪の毛に関していうと、昔からのハワイ人の女性の髪の毛の長さを見ると、長くしている人が多い。
これは、ハワイ人の女性の伝統なのです。
 
ハーラウの人がKumuに髪の毛を切ってもらう、ということを聞きます。
これは、人前でパフォーマンスをするとき、スカートの長さを揃えるたり、背の高さを合わせたりするのと同様で、
レイの大きさ、口紅の色を同じにしたり、メイクの方法を合わせるのと同じ。
見た目を合わせることはグループのパフォーマンスにはとても大切だからです。
5センチ以上、髪の毛を切る時は、クムに必ず許可を得なければならない、ということはよく聞きますし、
微小な髪の毛のカットを、クムにやってもらうところもあります。
でも、その目的は、みんなの長さを合わせるためであって、美容院ではありませんから、
「マナが大切だから」的なことで、髪の毛を切ってあげることは、ない。
まああるとしたら、日本人向けのパフォーマンスでしょうね。
 
私の髪の毛は、私のクムにいつも切ってもらってる、的な、優越感に浸るのも、楽しいと思いますが、
それをハワイでは、あまり言わないほうが良いでしょうね。
恥ずかしい日本人のフラの歪んだ知識。
 
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