持てる高齢者と持たざる老人
高齢生活保護者が火事により死亡した老人施設「静養ホームたまゆら」
が明らかにした、生活保護を受けざるをえない困窮老人に対する施策の
貧しさが浮き彫りとなった。
一方には、入居時に数千万円を払い、月々20万円を超えるお金を払う
裕福な高齢者が存在している。その資金は当然自弁するものであり、
何ら文句の付けようがないように、一見すれば、思われる。
しかし、それは現役労働の時代を通じて手にした資金、あるいはその資金の
運用によっているとばかりはいえない状況であることも考慮すべきであろう。
現役時の収入の額により、受け取る厚生年金の額は、現在、生活に困窮を
余儀なくされている非正規雇用従事者、若年労働者、パート労働者の収入を
凌駕する金額である例も多い。
これに対し生活保護を受給する老人は、せいぜいが年間70万円に満たない
国民年金受給者か無年金者である事が多い。
自ら好んで無年金となったのならば知らず、現役時に年金を掛ける金銭的な
余裕もなかった老人が多く存在する。
厚生労働省の関与する分野に余りにも社会的矛盾が集中している。
医療、年金の混迷、迷走ぶりは目を覆うばかりである。
富める高齢者に、高額の年金を払わずに、貧しき老人に救助の手を差し伸べる
政策は夢なのであろうか。