“文学少女”と死にたがりの道化 | 君は輝いている

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 “文学少女”と死にたがりの道化  野村美月 ファミ通文庫


  この本を読もうと思ったのは、声優の力丸乃りこ さんが自身のブログの中でお勧めをしていたのがきっかけ。
 夏のワンフェスでのイベントで、ゆりしぃと一緒に出ているのを見たのですが、金魚柄の浴衣を着ていて大変可愛らしい方でした。ゆりしぃの魔手から展示されているTo Heart2フィギュアのスカートの中身を死守しておりましたよ。
 まったく関係ないけどローゼンメイデンで演じている、のりの影響からか髪にはウェーブがかかっているものだと何故か勝手に思いこんでいた。


 話を戻して感想を。あと、致命的なネタバレは極力しないようにしていますので、未読の方も安心してご覧下さい。しかし完全に真っ白な状態で余計な予備知識がないまま読みたい方は、見ない方がいいと思います。
 




 話の導入部を裏表紙に書かれているあらすじを交えて書くと、
 文芸部に所属している元・天才美少女作家、今はただの男子高校生、井上心葉。そして物語を食べちゃうくらい深く愛している先輩の”文学少女”天野遠子。
 この二人の前に転がりこんでくるラブレターの代筆以来。そして太宰治の”人間失格”を軸にして起こる事件。
 
 コメディタッチな文芸部でのやりとりと、シリアスな部分が上手く交じり合っていて一気に読み終えてしまいました。

 最初に欠点をあげてしまうと、中盤終わりあたりの展開はちょっとご都合主義というか、唐突に進行していったかなという感はある。
 でも、それは終盤に向けての助走みたいなものだから許容範囲と思ってる。
 

 文学少女というタイトルを冠しているだけあって、既存の有名な文学作品(ここでは太宰治の人間失格)を軸にして進んで行きます。

 太宰治の人間失格から抜粋される文章が物語の各所に挿入。
 そしてやはり話の各所に挿入されていく、読者には誰が書いているのかわからない人間失格をなぞった文章の手紙。
 このギミックが効果的に作用して、物語の終盤にかけて色々なことが明らかになっていくところを盛り上げていく。


 人間失格を読んだことが無い人にはこの本は読んでも面白さがわからないんじゃないかと思うかもしれないけれど、自分も人間失格はほとんど知らなかった。
 それこそ主人公の井上心葉と同じで太宰治は学校の教科書で読んだことがあるくらいだったし、人間失格は冒頭の「恥の多い人生を送ってきました」ということをなんとなく覚えていたくらい。
 そんな自分でも楽しめたので、その心配はいらないかと。 
 ただ、この本の文章中で抜粋されている以上の部分はわからないし、読みこめていないであろうとは思う。そこはとても悔しいかな。読んでいればもっと楽しめたに違いない。
 ただ、順序は逆になるけれど、これをきっかけにちょっと読んでみようかなという気持ちにはなる。
 遠子先輩じゃあないけれど、素晴らしい作品を読まずに。ってのはもったいない。


 タイトルにもある”文学少女”である必然性がしっかりと出ている作品だったと思う。
 最後の部分で太宰治を持ち出すあたりは、普通に考えれば凄い変なことなんだけど、遠子先輩は文学少女であるから当然。
 ここがこの本の中で一番好きな部分。


 続編も出ているようなので、早速買ってこようと思います。また1つ追いかけていきたい、好きな作品が出来た。


 と、ここまでまとめておいてなんだけど、最後は俗な話で締めさせていただきます。
 琴吹ななせは、絶対にツンデレに違いないね。絶対。いや、むしろそうでいて。


野村 美月, 竹岡 美穂
“文学少女”と死にたがりの道化