朝香宮家は久邇宮朝彦親王の第8王子鳩彦王が1906年[明治39]に創立した宮家です。鳩彦王は、陸軍大学校勤務中の1922年[大正11]から軍事研究のためフランスに留学しましたが交通事故に遭い、看病のため渡欧した允子内親王とともに、1925年[大正14]まで長期滞在することとなりました。
当時フランスは、アール・デコの全盛期で、その様式美に魅せられた朝香宮ご夫妻は、自邸の建設にあたり、フランス人芸術家アンリ・ラパンに主要な部屋の設計を依頼するなど、アール・デコの精華を積極的に取り入れました。また建築を担当した宮内省内匠寮の技師、権藤要吉も西洋の近代建築を熱心に研究し、朝香宮邸の設計に取り組みました。さらに実際の建築にあたっては、日本古来の高度な職人技が随所に発揮されました。朝香宮邸は、朝香宮ご夫妻の熱意と、日仏のデザイナー、技師、職人が総力を挙げて作り上げた芸術作品と言っても過言ではない建築物なのです。
現在は美術館として使われていますが、内部の改造は僅少で、アール・デコ様式を正確に留め、昭和初期の東京における文化受容の様相をうかがうことができる貴重な歴史的建造物として、東京都指定有形文化財に指定されています。
現代美術家・杉本博司氏監修で、新館もオープンしました!
庭園美術館は浅香宮家の住居だった。
「人の家である」
ということは私にとって特別に意味があります。
人が暮らしている空間に絵がある。
人の体温があるところに絵がある。
今、絵をみるところは一般的に美術館、
という感覚に慣れてしまっていますが、
もともと家に大切に持って帰ってきた絵を愛でる、とか
家で作品を作る、ということが
アートとふれあう自然な環境だと思えます。
音楽ももともとバッハの時代は
家庭とか貴族のサロンでこじんまりと楽しんでいましたね。
それがだんだんコンサートホールという形に発展していきます。
その背景は今は置いておくとして、
人が暮らしているところで
人の体温があるところで
アートは生まれるんだと思います。
そういうところではまた人もアートを受け取りやすいはず。
そして
庭園美術館はもともと絵のコレクションをしていたわけではなくて
美意識の高い朝香宮のお家を美術館に改修した、というものですが、
もともとコレクターであった人の家が美術館になった
「邸宅美術館」というものもあります。
朽木ゆり子さんの
「邸宅美術館美術館の誘惑」
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朽木ゆりこさんはフィラデルフィアのバーンズコレクションを筆頭にあげて
邸宅美術館の楽しみを解説してくださっています。
コレクションオーナーは遺言などで「絶対貸し出し禁止」を謳っている人も多いので、邸宅美術館にある作品は現地に見に行かなければ見られないものばかりなのです。
あ、はなしがそれました。
東京都庭園美術館 館内はステキな
アールデコ。
館内にあるカフェ・ド・パレ
※画像お借りしています
1/16(土)~は「ガレの庭」展が開催されます。
お散歩、という形で楽しめるところです。
庭園の工事ももう終わっているはず。
光が明るくなってきた旧正月、
ぜひどうぞ。
東京都庭園美術館
http://www.teien-art-museum.ne.jp/