新宿のシャンソニエ「シャンパーニュ」で、今年もライブ。
この三月がこのお店の開店記念月で、ちょうど開店50周年の一昨年からお招きいただいている。
その頃はコロナの時期でもあり、人数制限ありの2回公演。
それがやっと制限なしになり、一杯のお客さまにお越しいただいた。

昼は昼の、夜は夜の、それぞれにお客さまとの時間を共有する。
両方来てくださるかたもいらっしゃるので、曲も少し変える。
錆びつきはじめたアタマにカツを入れつつ、歌う。

新宿といっても駅からそう近いわけでもない。
以前には通り向かいに厚生年金ホールがあった所、良き時代の熱気を思い出す場所だ。
そこへ、わざわざ足をお運びいただく、そのことにもう感謝でいっぱいになる。

そして、この頃よく思うのは、お客さまと私は同じなんだなあということ。
歌う側と聴く側ではあるけれど、みんな惑いながら懸命に生きる道を歩いている。
見える風景はそれぞれだけど、一人一人で歩かねばならないのは同じ。
その道すがらに、私は歌を歌い、それを聴いてくれる人がいる。
エールを交換しつつ歩いている。

昨日はこうした場所に初めておいでの方もいらして、こんなに至近で聴けるとはと驚かれていた。
ホールではホールの、シャンソニエではシャンソニエの、違う楽しみ方をしていただければと思う。
一日一日、一年一年、明日がどうなるかわからない日々だけど、またお会いする時に、来て良かったと思っていただけるよう、私も惑いながら精進します。

銀座シャンソニエ「蛙たち」は60年、新宿「シャンパーニュ」は52年。
そしてまだまだ多くのシャンソン系のお店たち。
音楽を育む皆さまに、これからも頑張っていただきたいと切に願っています。
お店たちは、歌い手の歌心の拠り所でもありますから。
そしてお店未体験の皆さまには、ぜひ一度お越しいだけますよう。
楽しいですよお。