なぜ指揮者は指揮棒を振るのかという質問。
チコちゃんの番組で、こんな質問が出た。
そういえば、なんで指揮者っているんだろうなんて、誰でも一回や二回は疑問に思ったこともあるだろう。

試しに、指揮者なしでオーケストラ演奏を試みると、何の問題もなく、みんなきちんと演奏している。
ほうら、やっぱり。
ところが、ぜんぜんやっぱりじゃないことが、だんだんわかってくる。

テンポとかそういう技術的なことだけじゃなく、この音楽で何をどう表したらいいのだという、哲学的なことが指揮者の大きな役割だとわかってくる。
つまりのところ、オーケストラは指揮者のものなのだ。

こんな全能感溢れる仕事はそうそうない。
ちなみに、指揮者は長生きすると言われる。
建築家と彫刻家と、この三つが全能感溢れる仕事というわけで、それ故長生きの秘訣ということだ。
もう一つ、この人たちは、ココロと共にカラダを使う。これが長生きの大要因でもあるだろう。

ふううむ。
そこいくと歌い手はどうだ。
歌い手も、自分に全能感を持てばいいわけだ。
つまり、この歌をこうして歌う、こうでありたい。というビジョンを明らかにし、カラダを使って懸命に歌う。
すると長生きになる。
ほんまかいな。

でも、尊敬する菅原洋一さんなど見ていると、なるほどと思う。
歌のスキルとカラダのスキルを存分に使い、いまだに多くの人々に感動を届ける。
90歳にして、この素晴らしさ。

ううむ。
長生きはともかく、自分が自分の指揮棒を、きちんとココロに持って歌っていこうと改めて思う。
どこでどう膝を折ることになっても、その時まで、自分の指揮棒は渡さない覚悟を持ちたいと思う。