音楽番組の収録を終え帰る。
一番ちっちゃな缶ビールが、冷蔵庫の奥にあったのでプシュと開ける。

テレビをつけると「映像の世紀 バタフライエフェクト」。
今回はあの9・11。アメリカ同時多発テロがテーマ。

この映像、いつ見ても、ついこの前のような気がしてしまう。
あの時、そのニュースを知る直前まで、私はスティーブン・キングの「Needful Things」という映画を見ていた。
平和な街を、悪意によって憎しみの街に変えていく悪魔の話だった。
平和って、こんなにもろいもんなんだ、誰かの悪意だけで、簡単に壊れるものかもしれない、などと思っていたら、現実がまったくその通りになった。
いや、現実が虚構を超えてしまった。

あれから世界はすっかり変わってしまった。

番組では、若き日のトランプさんも出てくる。
とろけるようなハンサムで、でも声の小さい、どこか屈折したような。
その人が大きい声の人になる、その過程が見える。

アメリカは、世界は、変わってしまった。
あの時を境にすっかり変わってしまった。
閉塞感が覆う。
世界に、日本に、そして私に。

昨日、歌った歌の中に。
「明日を生きる希望の詩(うた)」という言葉があった。
希望、希望、それがなかったら、人は生きられない。
希望は酸素と同じなんだ。