嫌いな言葉「再開発」と言った人がいる。
そうだそうだと、思った。

昨日赤坂に行ったら、またここでも再開発。
TBSあたりの一角が、また新しい街になる。
新しい街といっても、新しい大きいビルができるのだ。
ビルじゃない複合施設だというかもしれない。
でもみんな同じ。

誰かの大きな意図のもとに建てられたそれらは、すでにいろんな計算済み。
どういう店が入って、どこをどう人が流れて。
その中にある自然も、だから計算済みの自然。
どこも全部仕組まれたもの。

路地の多い、カオスの街でもあった赤坂。
今でもちょっとした通りには、その顔が残る。
昭和からある店がたくさんある。
昨日入った喫茶店には犬がいた。
チャウチャウの女の子で、生理中らしくお尻にパンツ。
お客は誰も気にしない。
そこに、ただ犬がいるだけ。
犬のゴキゲンを取ることもないし、コワがる人もいない。
この距離感に、赤坂の街の大人度がわかる。


でも、この大人の赤坂見附あたりでも、にょきにょきデカいビルが建っていた。
あれ、あれってなんのビル?と聞くと、赤坂プリンスホテルだった。
交差点の空を覆うような大きさと、ビジネスビルのような愛想のなさに、まさかそれが赤プリだとは信じられない。

そして駅の前の東急エクセルホテルも、来年8月で終わりだという。
ちょっとした食事ができる、昔からある、たしか名前も何度が変わったこの昭和のホテルももう終わりかあ。
ここのユルさが、ちょうどよかった。
ここのパーコーメンも、これで最後とかみしめた。

赤坂にはしんどい思い出もある。
きわめて極私的思い出で、その時のこみあげるような苦しさは、今でも一ツ木通りあたりを歩くと蘇る。
それも、もう様変わりするのだ。
辛い思いでも、みんながらがらと壊されていくのだ。
それなら良いのだけど。

そんなわけないじゃん。