母親がセキをし始めたのは、三日ほど前だった。
老人のセキは要注意。
ちょっとむせちゃってねえ、と言っていたので、誤嚥のことも思い、そのあとの肺炎のことも思い。
昨日は、どうやら風邪らしいとわかった。
それはそれでたいへんだ。
すぐに、いつも訪問診療をしてくれているクリニックに電話する。
ここは24時間対応なので、これまでもずいぶん助けられ心強い。
症状を説明してクスリを処方してもらう。
もし、このシステム(訪問診療)を利用していなかったら、本人を病院に連れて行かねばならない。
実際、数年前には母親を連れ出かけたものの、母親が歩けなくなって二人で道に倒れこみ、路上で泣きそうになった。
オンブしようと思っても、まったく歯が立たない。
これが父親だったらと思うと、震えがくる。
そんなことも含めて、今は、このシステムのおかげでちょっとでも安心できる。ありがたい。
で。
指定の薬局でクスリをもらい、母親に飲ませ、それからここ数日続いている銀行通いに行く。
これってどうなってるの、といういくつかの通帳を整理することになったのだ。
もう二十年近く記帳もしていないものもあって、両親のそれを手に窓口に行くが、本人確認の壁がたちはだかる。
そうだった、これが老人を抱えた家族のネックになっているのだった。
カラダが動かない、認知症になっている、そういう親の本人確認はむずかしい。
後見人制度のことも聞いた。
銀行ごとにもあるが、手っ取り早いのは、司法書士や弁護士など立ててきちんとした手つづきをすることらしい。
はあああ。ため息。
やること、やらねばならんことは、どんどん出てくる。
はああああ。またため息。
カラダ二つほしいなあ。
と、またため息。
今日は雨。
これで湿度が上がれば、セキも少し良くなるか。
なるといいなあ。