先月、モメた実家のケーブルテレビの契約。
交渉の結果、もちろんネット契約は破棄され、一番シンプルなものになった。
こういうものがあるんならあると、早くいえよとは思ったが、好青年風な相手と実際に対峙すると、ま、いっかになってしまう。
きっとこれで(言葉は悪いが)だまされちゃうんだなあ。
で。
タブレットなど、いらない機材の取り外しの人たちがやってきた。
タブレットは、母親の話では、勝手に置いてった、てことになるけど、それこそがネットだとは、もちろんわかっていない。
私もわかっていなかった。
「初期設定にもどします」という、作業員の言葉に、そうかそういうことだったんだと驚く。
そんなもんなんでまた。
「お母さまに、You tubeを見せたら喜んでおられたので」
と、好青年風契約員はいっていた。
返す言葉がなかった。
そんなもん見せて、喜んだから、だからネット契約かよ。
また怒りはふつふつと湧いてくるが、同時に無力感がおそう。
キカイへの想像はできても、人への想像はできない。
そうして。
リモコン一つでなんでもできるようにはなった。
ところが。
このリモコン、なんたって小さい。
母親に何回もトライさせるが、どうもうまくいかない。
これまでの、テレビのリモコンのように、ボタンの凹凸が見えないし、字も小さい。
同じものを使っている私だって、目をこらして判別するときもあるくらいだから、老人にやさしいはずがない。
「あああ、不便になっちゃった」
母親がつぶやく。
便利になっているつもりが、どんどん不便になっている。
これが、今の世の中だ。
若者に目盛りを合わせると、はじかれる人はものすごく多い。
でも、これが世の中の流れだからさ、仕方ないんだよ。
そういって慰める私も、実ははじかれてる。
いつも思うこと。
進歩っていうのは、誰にでもできるようになるってこと。
簡単になることこそが、ほんとの進歩だ。
おばあちゃんも子供も、簡単に使えちゃうこと。
それが進歩だ。
ちっちゃなリモコンを前に、目をこらし指に力を込める母親を見ていて、心底そう思う。