現在発売中の「日経ビジネス」(3月31日号)の特集テーマは「ハラスメントから会社を守る」
その中で、日本アンガーマネジメント協会の取り組みとして、「パワハラ撲滅に向けた研修を実施している」という
コメントが紹介されました。
パワハラ防止のための、
そしてパワハラを起こしてしまった社員のための
改善プログラムの集合研修も多くの企業から
ご依頼をいただいていますが、
特にここ数年は、1対1の個別セッションのご依頼が増えており、今年に入ってからも、パワハラ認定で処分を受けた方
3名に対する個別セッションを担当しました。
3名の方それぞれが共通しておっしゃっていたこと。
それは
「弁護士から“これはNG行為です”とは言われるけれど、じゃあ、どうすればよかったのかがわからないんです」ということ。
問題行動を「知識として知る」ことと、
「行動として変える」ことにはギャップがあります。
かつて自分が部下だった時代に上司からされていた指導を無意識に再現していることも多く、
何が問題だったのかにさえ気づいていないことが
少なくありません。
セッション後にご依頼いただいた企業のご担当者から
「○○さんは現場に戻ってから、部下への関わり方が変わりました」
という報告をいただき、嬉しく思いましたが、
これは外部である私の関わりだけでなく、
現場での継続的なフォローがあってこその変化です。
私たち日本アンガーマネジメント協会の理念は
「怒りの連鎖を断ち切ろう」ですが、
「パワハラの連鎖を断ち切る」
ことも重要なテーマとして取り組んでいます。
多くの方が、「部下にもっと良くなってほしい」
「育ってほしい」という願いを持ちながら、
自分の中にある「〜するべき」が“あたりまえ”だと思い込み、
それが守れない部下に対してイラッとし、
結果的に指導の方向性を誤ってしまうのです。
さらには、自身が持つ「ポジションパワー」
(立場による影響力)に無自覚であることも少なくありません。
軽い気持ちで言ったつもりの言葉が、
部下にとっては重くのしかかる——このようなケースは
現場で多く見られます。
これは私自身も日々自戒を込めて意識しなければならないと
感じています。
アンガーマネジメントを身につけることで、
怒りの感情を理解し、自分の怒りのもとになる「べき」を
把握し、相手との価値観の違いを尊重しながら、
建設的にコミュニケーションをとる力も身につけることが
できます。
「ハラスメントから会社を守る」
パワハラ、そしてカスハラ対策に多くの方が
アンガーマネジメントに取り組んでくださればと思います