30室以下の小さなお宿の付帯売上を
新聞やニュースでよく目にする「インバウンド」。以前、この記事でも、外国語表記の湯暖簾の注文が多くなったことを実感すると書きました。
インバウンドを意識はするんだけどね。
先日、茨城・福島へ出張に行ったんです。
1日目の仕事を終えて、
お客さまのお宿へ一泊お世話になりました。
お夕食が始まるまでにはまだ時間があったので、
汗だけ流そうかしら~と、
タオルを持っていそいそ大浴場へ向かったのです。
お風呂から出たら~?
ビールー?
とか、飲んじゃ~う?
それとも飲まな~い?
いや、飲んじゃ~う?
などとヘラヘラしながら浴場の入り口を開けますと、
中から出てきたのは松葉杖を突いた大柄な若い男性。
イカン!
お風呂上がりのビールに気を取られて
男湯へ入ろうとしてしまった…
我ながら間違いが大胆…!
すみませんです~と慌てて去ろうとしたら、
その男性はちょっと困った顔をして、
「Sorry」
と言いました。
おや?と思って改めて男性をマジマジ見つめると、
日本人ではないことが分かりました。
左耳に光るピアスが見えました。
改めてお風呂を入口から見てみると、
浴場の入り口はひとつで、
中で男女で分かれている造りでした。
そして湯暖簾には英語表記がなかったんです。
男風呂の前まで彼を引っぱって行って、
「Men(^▼^)!」
と入口を指差すと、
「OK!!」
とパッと笑顔になって奥へ消えました。
脱衣所で服を脱ぎながら、
わたしはなんとなく
「インバウンドじゃないんだよなぁ」
とつぶやきました。
テレビや新聞で目にする「インバウンド」は、
実際にはさっきの彼のような人たちのことで、
ひとくくりに「インバウンド」なんて言葉で言っちゃったら、
姿がみえなくなっちゃうよなぁと思って。
そして彼にとっては、
英語表記の湯暖簾があったら嬉しかっただろうなぁ。
不安がなくなってホッとできて、嬉しかっただろうなぁ、とも。
彼のような人たちの為にも、
「英語表記湯暖簾、作れるよ~作ろうよ~」と、
わたしたち伝えなきゃいけないよなぁ。
お風呂に浸かって遠くの海を眺めながら考えたのでした。