朋緒がドラッグストアの入り口の前に立っていると、涼太が自転車で向かってきた。

「ごめんね遅くなって」

「いいよ、私も今来たとこだから」

とはいうものの、本当は10分位待っていた。

朋緒は時間にきっちりしてるというよりは、もしも遅れそうになったらパニックになるから、あらかじめそうならないようにいつも気をつけているのだ。

 

あの子は「ハッタツショウガイ」だから大変なんです。

 

昨夜もママは誰かと話をしていた。

どうやら朋緒のことを相談しているらしい。

「ハッタツショウガイ」がどういう意味なのかよくわからないが、それはママをとても困らせているということだけはよくわかる。

 

ママを安心させてあげたい。

そんなママには、朋緒が涼太と仲良しだということはとても安心することなのだ。

なぜなら涼太がとても賢い子どもだから。

ママは涼太が挨拶してくるととても嬉しそうに笑う。

 

そうか。ママは私が涼太くんみたいだと良かったんだ。

 

 

「ほらこれ。かっぱえびせんあったよ」

「ほんとだ!涼太くん見つけるのはっや!」

二人でレジに並び、レジの女の人にピッとしてもらう。

「あ」

朋緒の持っているお金は120円。

かっぱえびせん138円、足りない…。