ただいま発売中の『週刊女性』7月18日号にて
新刊『ばぁば 92年目の隠し味』(小学館)を上梓された
鈴木登紀子さんのインタビュー記事を書かせていただきました。
鈴木登紀子さんは、“ばぁば”の愛称で親しまれている
料理番組『きょうの料理』の人気講師で、御年92歳です。
以前から『きょうの料理』で“ばぁば”を拝見していたので
取材が決まったときは、本当に本当に、うれしかったです。
“ばぁば”は、声が大きくて、話し方は快活で
卒寿を過ぎたとは思えないほど、エネルギッシュな女性でした。
今、時短や手抜きの料理が脚光を浴びていますが、
“ばぁば”は繰り返し、基本の大切さをお話してくださいました。
「基本的な手のかけ方を知らなければ、
手の抜き方をわかるはずはないわね」
という言葉がとても印象に残りました。
また、取材時には
手軽で便利なきゅうりの下ごしらえのしかたを教えてくださいました。
その下ごしらえをしておくだけで
きゅうりとわかめの酢の物とか、きゅうりサンドとかが
簡単に作れるので、さっそく、取材の翌日から実行しています。
これはぜひとも、読者の方にも知っていただきたいと思い
原稿の中でしっかりと紹介させていただきました。
鈴木登紀子様、関係者の皆様、
ご多忙の中、取材のお時間をいただきまして
本当にありがとうございました。
『ばぁば 92年目の隠し味』の中では、
“ばぁば”がこれまでつくり上げてきた約1500品のレシピの中から
40品のレシピが紹介されています。
各レシピにまつわるエピソードや、料理に対するご自身の想い、
さらに日本料理の作法なども書かれていて
人生指南書のような料理本です。
子どものころのわたしは、おばあちゃん子でした。
包丁の持ち方や野菜の切り方、煮炊きの仕方、
針の持ち方や布の縫い方など
生活に直結する家事の基本のほとんどは、祖母から教わったような気がします。
小学校中学年で裁縫に興味を持ったときには
赤い箱に入った裁縫セットを買ってくれました。
それまでは祖母の裁縫道具を借りていたので
自分だけの裁縫セットは、まるで宝箱のように思えて
うれしかったです。
祖母は周囲の人たちから「まるで仏様のよう」と言われるほど
穏やかでやさしい女性でした。
野菜の切り方を失敗しても、雑巾がうまく縫えなくても
「大丈夫、大丈夫。できるようになっがら」と
いつもやさしく励まし、見守ってくれました。
『ばぁば 92年目の隠し味』を読み終わった後、
20年近くも前に他界した祖母が近くにいるような
不思議な気持ちになりました。
年齢を重ねるたびに、
自分にダメ出しをしてくれる人は減り、
素直に意見を受け入られる相手はもっと減り、
なのに、
「今さらこんなこと聞けない……」という事柄は増える一方です。
きちんと自分にダメ出しをしてくれて
しかも、その人の意見をすんなり受け入れることができて
さらに、「今さらこんなこと聞けない……」と思えることを
適切に教えてくださる“ばぁば”のような存在を、
きっと誰もが求めているのかもしれません。
ひとりでも多くの方が
『ばぁば 92年目の隠し味』の“ばぁば”の言葉や姿勢から、
人生における大切なことを感じとれたらいいなぁと思っています。