Ken Rhodes『Ken Rhodes Trio』 | kumac's Jazz

Ken Rhodes『Ken Rhodes Trio』

 アメリカのメンフィスに1945年に生まれたピアニストです。新宿のディスクユニオンで2016年録音の新譜と紹介されていたので購入したのですが、どうもCDにある説明書を読むと1996年頃のライブ録音が「父の思い出に」として2016年に発売された新譜のようです。それは、2016年8月にケン・ローズは死亡していますし、このCDのどこにも2016年録音というクレジットはありません。ウィキペディア(英語)では、録音は2000年と書かれていますので、どちらにしても2016年の録音ではなく10年以上前の録音と思われまれます。

 

 アメリカのシカゴで演奏活動を行い、一時期、ドイツでクラシックの仕事を行ったり、ダスコ・ゴイコビッチと演奏を共にしたようです。ドイツ時代にヒップホップ調の代表作を録音しています。ググると、その作品の紹介が多く出てきます。

 

 この作品は、アメリカン・アートという美術館のレイナードハウスという建物でライブ録音されたものです。

 

 kumacは、アメリカに住んだことも行ったこともないので、アメリカのジャズが文化として、アメリカ人の生活にどのように溶け込んでいるのかわかりませんが、テレビ等の情報で知る限りは、元々は黒人の文化にしても、その分流として、白人に洗練された娯楽として受け入れられていった部分があったと思っています。ベニー・グッドマン、グレンミラー、フランク・シナトラ、トニー・ベネットなど。オスカー・ピーターソンもその流れに入るのかも知れません。しかし、ビル・エバンスはちょっと違うのですね(自分でもこの違いが説明できない。)。

 

 このケン・ローズは、まさしく kumac が先入観として持っている洗練されたジャズそのものです。過去のヒップポップ系の演奏は影を潜めています。ちょっとその片鱗を感じさせるのが、3曲目「Assignments From A Post Life」で聴けるファンキー調な演奏でしょうか。さりげなくファンクなんですね。全面に押し出すような演奏ではありませんが、ファンクの癖とうか魂が身に染みついて自然に出てくる感覚です。とても気持ちの良くなる演奏です。

 

 その他は、6曲目フリーフォームの「Pierre's Nightmare」を除けば、高級ホテルのバーで静かに奏でられるような雰囲気とメロディーを大事にした演奏が続きます。タッチもとても綺麗です。

 

 外は、昨夜の湿った雪が、しっとりと家々の屋根に音を包み込むように積もっています。そんな静寂を感じさせる演奏です。