菊池成孔+大谷能生『東京大学のアルバートアイラー 東大ジャズ講義録キーワード編』 | kumac's Jazz
2006-06-03 05:54:28

菊池成孔+大谷能生『東京大学のアルバートアイラー 東大ジャズ講義録キーワード編』

テーマ:ジャズの本
 前著『東京大学のアルバートアイラー 東大ジャズ講義録歴史編』に続く、続編である。かなり専門的な話に終始する濱瀬元彦氏のラング・メソッドの講義の部分は、読み進めるのに苦痛を感じたが、その他は終止和やかな、目から鱗状態の、新鮮な音楽の解釈に満ち満ちている。特に、フリージャズバンドを組んでいるkumacにとって、第3章の「即興」の講義、中でも、大友良英氏と学生(聴講生)との質問のやり取りが面白かった。即興演奏を終わるタイミングの問題は完全なインプロビゼーションはありえるのか、といった話は、とても興味深いものであった。この分野におけるデレク・ベイリーの位置が、おぼろげながら見えて来たような気もした、ミルフォード・グレイブスが未だに、存在感を持っていることに驚きをお覚えた。

 2冊通して読むと、如何にジャズという概念が、絶えず変遷する音楽の中で、その影響を受け、またはその動きを消化する形で、変化しているのかということを、大きな視野で捉えることが出来た感がある。しかも、菊池氏(大谷氏?)の話は、音楽だけではなくて、社会現象や文化、人間の意識、無意識との関係まで及んでくる。そして、最後には音楽は物理的な理論で説明ついてしまうかのようなことまで発展してくる。

 特段これを読まなくても、ジャズは楽しめる。読後の正直な印象としては、ジャズについて、見方が逆に狭くなったような気がする。一つ緒概念(この本でと言ってもいい)で説明がついてしまう錯覚に陥りやすい危険がある。kumacとしては、それから如何に抜け出すのかが、今後の課題である。ジャズがやっていることは、すでにパーカーでやり尽くしていると書かれると、少々困惑してしまうのも、事実である。



菊地 成孔, 大谷 能生

東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・キーワード編

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