国家試験

こんにちは！

それでは講義を始めますね。

今日は、使用貸借での転貸・譲渡についてお話しますね。

例えば、Ｂさんは、Ａさんから自転車を借りているとします。

Ｂさんは、このＡさんか借りている自転車を、友人のＣさんに貸すことができるでしょうか？

このように、借りているものを別の人に貸すことを「転貸[てんたい]」(「また貸し」のことですね)というのですが、ＢさんはＡさんの自転車を転貸することができるでしょうか？

これについて、前もってＢさんがＡさんに「借りている自転車、Ｃさんに貸してもいい？」と聞いておき、

Ａさんが「うん、いいよ」と承諾しているなら、問題なく転貸できますね。

じゃあ、貸主のＡさんに無断で転貸することは？

そうです。それはダメですね。貸主に無断で転貸してはいけないんです。

じゃあ、例えば、Ｂさんは、自分の自転車を買ったので、Ａさんから自転車を借りる必要がなくなったとします。

そのとき、たまたま友人のＤさんが自転車を盗まれて困っていたので、Ａさんから借りている自転車をＤに渡し、

今後は、Ｄさんが、Ａさんから借りていることにする、なんてことはできるでしょうか？

少しややこしい例ですが、言い換えると、Ｂさんは、借主の地位(自転車を借りる権利など)を、Ｄさんにゆずった、ということです。

すると、今まではＡさんとＢさんで使用貸借契約を結んでいたけど、

以降はＡさんとＤさんで使用貸借契約を結んでいることになるんですね。

このように、Ｂさんの借主の地位を別の人にゆずることを「(借主の地位の)譲渡(じょうと)」というのですが、Ｂさんはこの譲渡ができるでしょうか？

これについても、前もって貸主のＡさんに承諾をしてもらっておけば、問題なく譲渡できますね。

反対に、貸主のＡさんに無断で譲渡することはできないんです。

ちなみに「譲渡」と言っていますが、決して「Ａの自転車」をＤにゆずり渡す(あげる)、という意味ではありませんのでご注意くださいね。

Ｂの「借主の地位」をＤにゆずり渡すということですので。

これら、無断転貸の禁止や無断譲渡の禁止について、民法では次のように定められています。

【第594条第2項】
借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物の使用又は収益をさせることができない。

そして、もし、借主が無断転貸や無断譲渡をした場合は、貸主は契約を解除することができるんですね。

例えば、貸主のＡさんは、無断転貸や無断譲渡をした借主のＢさんに

「勝手なことをするＢを信頼することはできない。使用貸借はなかったことにする！貸した自転車を返せ！」

と言うことができるんですね。

【第594条第3項】
借主が前二項の規定に違反して使用又は収益をしたときは、貸主は、契約の解除をすることができる。

それでは今日はここまでです。お疲れさまでした。

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