こんにちは!
それでは講義を始めます。
今日は,前回の続きで,内閣の組織について,もう少し見ていきますね。
(2)文民
内閣総理大臣や国務大臣は,全員文民でなければなりません。文民とは,いろいろな説がありますが,とりあえずは「軍人ではない人」と理解しておけばよいでしょう。
次の条文を見てください。
【第66条第2項】
内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
これは,シビリアン・コントロール(civilian control)=文民統制の原則の表れと考えられます。
文民統制の原則とは,軍事権を,議会に責任を負う文民の大臣によってコントロールし,軍の独走を抑止する原則のことです。
ここで,「議会に責任を負う大臣」については,議院内閣制のところで説明しますね。
とりあえずは,軍事権のトップを軍人ではない人(文民)に担当させて,軍を文民によりコントロールしようとする原則,と理解しておけば十分です。
(3)国務大臣の要件
では次に,国務大臣の要件について見てみましょう。
【第68条第1項但書】
その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
「その」とは,「国務大臣の」のことですので,国務大臣の過半数は,国会議員の中から選ばれなければなりません。
例えば,2013年11月11日現在,国務大臣は18人いますから,過半数の10人以上は,国会議員の中から選ばれます。
この要件を充たしておけば,例えば法務大臣を,国会議員ではない,大学の教授から選ぶ,ということも可能です。
ではここまでを,次の図表1でまとめておきましょう。
【図表1】
(4)選任など
では次に,内閣総理大臣や国務大臣の選ばれ方について見ていきましょう。
①内閣総理大臣
まずは内閣総理大臣からです。次の条文を見てください。
【第67条第1項】
内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
このように,内閣総理大臣は,国会議員の中から,国会の議決によって選ばれます。
そして,
【第6条第1項】
天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
このように,天皇の国事行為により任命されます。
ここでの,国会の「指名」と天皇の「任命」ですが,実質的な選任権は国会にあって,天皇はただ形式的に太鼓判を押しているだけ,というくらいの理解でよいでしょう。
②国務大臣
次に国務大臣についてです。
次の条文を見てください。
【第68条第1項本文】
内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。
このように,国務大臣は,内閣総理大臣により選任されます。
そして,
【第7条5号】
国務大臣(中略)を認証すること。
とあるように,天皇の国事行為として,認証されます。
ここでの,内閣総理大臣の「任命」と天皇の「認証」ですが,実質的な選任権は内閣総理大臣にあって,天皇はただ形式的に太鼓判を押しているだけ,という理解でオッケーです。
さらに,次の条文を見てください。
【第68条第2項】
内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。
「任意に」とは「自由に」,「罷免[罷免]する」とは「辞めさせる」という意味ですので,置き換えて読んでみてください。
つまり,内閣総理大臣は,自由に国務大臣を辞めさせることができます。
ですので,国務大臣に,なんら落ち度がなくても,内閣総理大臣はその国務大臣を辞めさせることができるんです。
このように,日本国憲法では,内閣総理大臣に首長としての地位を認めていることを理解しておきましょう。
それでは今日はここまで。お疲れさまでした。
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(2)文民
内閣総理大臣や国務大臣は,全員文民でなければなりません。文民とは,いろいろな説がありますが,とりあえずは「軍人ではない人」と理解しておけばよいでしょう。
次の条文を見てください。
【第66条第2項】
内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
これは,シビリアン・コントロール(civilian control)=文民統制の原則の表れと考えられます。
文民統制の原則とは,軍事権を,議会に責任を負う文民の大臣によってコントロールし,軍の独走を抑止する原則のことです。
ここで,「議会に責任を負う大臣」については,議院内閣制のところで説明しますね。
とりあえずは,軍事権のトップを軍人ではない人(文民)に担当させて,軍を文民によりコントロールしようとする原則,と理解しておけば十分です。
(3)国務大臣の要件
では次に,国務大臣の要件について見てみましょう。
【第68条第1項但書】
その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
「その」とは,「国務大臣の」のことですので,国務大臣の過半数は,国会議員の中から選ばれなければなりません。
例えば,2013年11月11日現在,国務大臣は18人いますから,過半数の10人以上は,国会議員の中から選ばれます。
この要件を充たしておけば,例えば法務大臣を,国会議員ではない,大学の教授から選ぶ,ということも可能です。
ではここまでを,次の図表1でまとめておきましょう。
【図表1】
(4)選任など
では次に,内閣総理大臣や国務大臣の選ばれ方について見ていきましょう。
①内閣総理大臣
まずは内閣総理大臣からです。次の条文を見てください。
【第67条第1項】
内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
このように,内閣総理大臣は,国会議員の中から,国会の議決によって選ばれます。
そして,
【第6条第1項】
天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
このように,天皇の国事行為により任命されます。
ここでの,国会の「指名」と天皇の「任命」ですが,実質的な選任権は国会にあって,天皇はただ形式的に太鼓判を押しているだけ,というくらいの理解でよいでしょう。
②国務大臣
次に国務大臣についてです。
次の条文を見てください。
【第68条第1項本文】
内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。
このように,国務大臣は,内閣総理大臣により選任されます。
そして,
【第7条5号】
国務大臣(中略)を認証すること。
とあるように,天皇の国事行為として,認証されます。
ここでの,内閣総理大臣の「任命」と天皇の「認証」ですが,実質的な選任権は内閣総理大臣にあって,天皇はただ形式的に太鼓判を押しているだけ,という理解でオッケーです。
さらに,次の条文を見てください。
【第68条第2項】
内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。
「任意に」とは「自由に」,「罷免[罷免]する」とは「辞めさせる」という意味ですので,置き換えて読んでみてください。
つまり,内閣総理大臣は,自由に国務大臣を辞めさせることができます。
ですので,国務大臣に,なんら落ち度がなくても,内閣総理大臣はその国務大臣を辞めさせることができるんです。
このように,日本国憲法では,内閣総理大臣に首長としての地位を認めていることを理解しておきましょう。
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