こんにちは!

それでは講義を始めます。

今日は幸福追求権について説明しますね。


さて,今まで,日本国憲法で定められている,様々な人権を見てきました。

でも,これらの人権は,歴史的に侵害されることが多かった人権を挙げているだけで,

これら以外の人権は保障しない,という意味ではありません。


では,憲法で挙げられていない人権が問題となったとき,憲法のどの規定を根拠に考えれば良いでしょうか。

これは,13条の幸福追求権を根拠に,人権の保障を考えれば良いとされています。

では,13条を見てください。

【第13条】
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。


前段は,個人の尊重がうたわれています。

後段に「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」というフレーズが出てきますが,これが幸福追求権または包括的基本権と呼ばれるもので,憲法に定めのない,いわゆる新しい人権を保障する根拠とされています。


では,実際に,13条によって新しい人権が認められたと考えられる判例を見てみましょう。

この判例は,京都府学連事件と呼ばれるもので,京都府で行われた学生のデモ行進に際して,警察官が犯罪捜査のために行った写真撮影が適法か違法かが争われた事件です。

これについて,裁判所は「個人の私生活上の自由の一つとして,何人も,その承諾なしに,みだりにその容ぼう,姿態を撮影されない自由を有する(中略)。これを肖像[しょうぞう]権と称するかどうかは別として,少なくとも,警察官が,正当な理由もないのに,個人の容ぼう等を撮影することは,憲法13条の趣旨に反し,許されない」(最大判昭和44.12.24)と判示しました。

このように,裁判所は,憲法13条を根拠に,プライバシーの権利の1つである肖像権を保護される人権として認めました。



ただ,新しい人権として叫ばれているものは,環境権だとか,日照権だとか,嫌煙権だとか,数々のものが挙げられてはいるのですが,裁判所が真正面から13条を根拠に新しい人権として認めたものは,肖像権や,名誉権くらいしかありません。

これは,裁判所が主観的な判断で人権を新しく作ることになっては問題であることと,

新しい人権が1つできるということは,新しく人権が1つ制限されることでもあるので,慎重にならなければいけないことからきています。

例えば,「たばこを吸う権利」が新しく人権として認められると,「たばこの煙を吸わない権利」が制限されることとにもなる,ということです。

ですので,何でもかんでも新しい人権として認めさえすれば良いわけではないのです。



それでは今日はここまで。お疲れさまでした。


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