「鉄田憲男のAtoZ」、2回目の今日は「B」で、体調(Body Condition)の話である。よく「身体髪膚(しんたいはっぷ)之(これ)を父母に受く」(『孝経』)と言う。「人間の体は髪の毛から皮膚に至るまで、すべて父母に授かったものであるから、これを大切にしなければならない」と言うことだ。
※トップ写真は、九度山町の雨引山(あまびきさん=雨乞いの山)。秋の雲が美しい(彼岸の2025.9.20 撮影)
それはその通りであるが、お医者さんによると、「20~30歳代までの体調・体質は両親から受け継いだもの(遺伝的要素)で決まるが、それ以降は、本人の摂生次第」ということなのだそうだ。私の周囲にも、中高年になってから、急に病気になる人が多い。
私の周囲で、60歳代で亡くなる人の傾向を見ていると、「会社を退職してから、人間ドックや特定健康診査を受けていなかった」という人が多い。中には「自覚症状が出ない限り、医者にはかからない」という人もいるが、これはとても危険なことである。
会社の同期で、67歳で突然死した男がいる。生涯独身で、賃貸マンションに1人暮らしだった。彼は宅配の日替わり弁当を利用していた。それが何日分も溜まるようになり、隣の人が「これはおかしい」と管理人さんに通報し、鍵を開けてもらうと、ベッドに突っ伏して倒れていた。「心筋梗塞」という診断で死後、何日も経過していた。いわゆる孤独死である。
彼は成人病の巣窟のような男で、毎年の特定健康診査も、受けていなかった。晩年は腸炎や肺炎で入退院を繰り返していた。独り身で注意する人もいないので、好きなだけ食べ、好きなだけ飲んでいた(酒は弱かったが、酒に飲まれるタイプだった)。私は、「そんな生活をしていると、早死にするぞ」と何度か注意したが、聞く耳を持たなかった。おそらく若いときは体が丈夫だったのだろうが、それが中高年になってから仇(あだ)になった。
私は小心者なので、毎年、特定健康診査を受け、その結果もホームドクターに見てもらっている。こないだまで肝機能の数値が極端に悪く、「隔日断酒」を始めてからそれは落ち着いたが、先日の特定健診では「血圧が高い」と注意された。これから寿命が尽きるまで、「数字との戦い」だ。
先月(2025.9.17)、熊野古道を歩くツアーに参加した(主催=南海国際旅行)。初回は生駒から布施屋(ほしや=和歌山市)までバスで行き、そこから17km歩いた。若いときは17kmくらいは難なく歩けたが、このトシではさすがにツラい。途中で離団して観光バスで移動することもできたが、それも情けないので、フラフラになりながら最後まで歩き通した。
おかげで、そのあと3日間は筋肉痛で、2階の寝室へは手すりにつかまりながら階段を登った、やれやれ。この日は「熱中症警戒アラート」が発令されるほど暑い日だったので、暑さで体力を奪われたのかも知れないが(ペットボトル飲料6本と、アイスクリーム1個でしのいだ)。
生活習慣病(がんや心臓病、脳卒中など)は、早期発見が大切と言われるが、お医者さんによれば「一番大切なのは、『予防』です」ということのようだ。これからも摂生に励み、丈夫で長生きしたいものである。
