女たちは何を考えてきたか 塩田光枝  | 気になる映画とドラマノート

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女たちは何を考えてきたか 塩田光枝 

そこにひょいと入ってきた婦人部長の塩田光枝の顔をふっと思い出した。
部長と言っても、髪をおさげにした二十歳前後のお白粉気のない少女で、そんなにして、私が事務所に座っているのを見ると、いいところにいたと笑いながら、封建制度とは何のことかと私にたずねた。それで私が封建制度とは農奴経済が中心になっている社会の仕組みだというように説明していってから、いまの資本制度も賃金奴隷が・・・と説明すると、塩田(光枝)は、あら、それでは奴隷制は原始共産制のあとから今までいろいろ形をかえても残っているねとびっくりした顔をするから、そうですよ、ことに女の人は性的ににも二十に奴隷にされているわけですよ、と説明してあげると、塩田は興味深そうに聞いていた。

 (中略)
やがてその日の大会副委員長に選ばれたらしい塩田光枝が登壇して元気よく、「皆さん、私達の心の底にこびりついている奴隷根性を、このさいはっきりと見つめ、それを取り去ることに努めましょう」と話をはじめ、その中には、きのう、私が彼女に話してあげたことがそのまま出てきたので私はほほえましい感じがした。

 (昭和22年4月雑誌掲載の田中英光「N機関区」より
大辞泉によると、封建制度は、以下のように、農奴支配とは、限らない。
 福沢諭吉が「封建制度は親の敵と言ったのは、2番の意味に近い解釈で、農奴制の事ではない。
 また、サラリーマンが奴隷みたいなもの、というのが本気なら、現在厚生年金をもらって案外余裕綽々で暮らしている元夫婦共働きの厚生年金受給の老夫婦は、元奴隷の末に、年に何回か、旅行に行っている、豊かな奴隷ということになる。

 また、女性が二重にしいたげられているというが、男と女は、一方的に損得があるわけではない証拠に、夫に先立たれて悠々自適に暮らしている女性もいれば、働き疲れで早死にする男もいるし、DVに地獄の思いをする女性もいる。千差万別というほかないのが、人間の真実だが、この昭和22年の前後の共産主義の流行は、フェミニズム運動の基礎にもなったことがわかる。

天子がその領土を諸侯に与え、さらに諸侯はそれを臣下に分与して、各自にその領内の政治を行わせる制度。中国で周代に行われた。→郡県制
中世社会 の基本的な支配形態。封土の給与とその代償としての忠勤奉仕を基礎として成立する、国王・領主・家臣の間の主従関係に基づく統治制度。また、領主が生産者である農民を身分的に支配する社会経済制度