生徒の身体が傾くと、すぐに注意するコーチは多いです。
ザックリと、「身体が傾く=バランスが悪い」「身体が真っ直ぐ(身体の長軸が鉛直)=バランスが良い」と考えているようですね。
身体が傾く生徒に対して、「体幹が弱いので体幹トレーニングしたほうがいい」と言ってしまうコーチもいます。そんなことで動きは改善しませんよ。
バランスが良いか悪いかは、そのときの状況が決める。
例えば、「素早く移動するときは、動き出しで身体を倒したほうが、移動するにはバランスが良い。」「立っているだけ(何か動作をする前)のときは、身体を真っ直ぐにしているほうがバランスは良い。」ということです。
ただ、2つ気をつけることがあります。
それは、背骨が湾曲していないかということです。背骨を湾曲させての傾き(左右の湾曲、猫背)はダメです。
私がこのブログで伝えている「身体の傾き」とは、股関節の動きで身体を傾けるということです。背骨の動きではない。
ここで勘違いしてはならないことがあります。
背骨を左右に湾曲させてから動くのは厳禁。動いた結果として湾曲するのは問題ないということ。
同じ形でも、そうなった過程が違えば、まったく違うものになる。
もう一つの気をつけることは、頭を左右に傾けないことです。
試しに、頭を斜めに傾けて一直線に歩いたり、自分の名前を書いたりしてください。
次に、顔を真っ直ぐにしたまま、身体を傾けて走ったり名前を書いたりしてください。先ほどのような不安定な感じはしません。
頭が傾くと足も腕も使いにくくなる、というのがわかると思います。
身体が真っ直ぐでも、頭が左右に傾いていると、身体はコントロールできない。
身体が傾いても、頭が真っ直ぐ立っているならば、身体のコントロールできる。
動きとは、重みを変化させるということ。すべてのものに影響している重み(鉛直方向)がわからなくて、良い動きができるはずはない。重みを感知する機能は頭(耳の中)にある。この機能を使いたいなら頭を傾けてはならない。
指導側の人は、「身体が傾いた=ダメ」とすぐに決めつけずに、どのように身体を傾けたのか、どの状態で身体を傾けたのかを見抜く力が必要がある。傾きにも色々あるのです。
過去記事に何度もこの内容のことは書いています。興味がある人はブログ内検索してください。