教えているの?教わっているの? | 窪田テニス教室

窪田テニス教室

皆さんの技術向上のキッカケぐらいになればと思います。
内容は指導者向けかもしれません。
はじめての方はテーマ欄の「注意事項」をすべて読んでください。


以下、あるコーチのアドバイス口癖です。

「しっかり足を動かしていきましょう」「グッと力を入れてパチーンと打ってください」「すぱーんと振り抜いて」「もっと体重をボールに乗せて強く打ってください」

どれも意味不明です。

これを聞いただけで、動きが改善することはない。

このコーチが教えている生徒達の動きはみんなバラバラ。テニスを習ったという形跡がない(自己流で打っているだけ)。

生徒側の人は、コーチが主観的な表現をしたとき、

しっかり足を動かしてというのはどうやるのですか?どっちの足を、どのタイミングで、どこに動かせばいいのですか?」(私なら、その時々で身体の向きや両腕の動きはどうやるのですか?、まで質問します)

グッと力を入れてパチーン、すぱーんと振り抜いてというのはどういうことすか?擬態語なしで具体的に身体の動かし方を教えてください。」

ボールに体重を乗せて打つ、というのはどうやるのですか?実際にボールに乗るわけではないですよね?ネット方向に出した足に体重をかけて打つのですか?毎回やると忙し過ぎて疲れます。それに、横に移動しながら打つ場合、後方に移動しながら打つ場合、相手のボールが深い場合などはまったくできません。これはどうすればいいのですか?」

などのように、質問してください。

これで、

具体的なアドバイスがもらえない場合、他のコーチを探したほうが良いです(上手くなりたいなら)。コーチの能力不足。

具体的なアドバイスがもらえた場合、そのコーチは手を抜いていたことになります。無責任、生徒をナメていた、思いやりがないということ。これは悪質です。

第三者の立場からレッスンを見ると、このコーチは、生徒に動きを教えていると勘違いしている生徒側は動きを教えてもらっていると勘違いしているというのがハッキリとわかります。このブログの読者も、これを目の当たりにするとよくわかると思います。

悪いのはコーチですが、生徒も悪い。下手なアドバイスをされて、理解できてないのに「はい!」と返事してるから。そんなことするからコーチも調子に乗る。

どんどん質問して良いコーチを見つけてください。

と言うと、「コーチに気を使う」という人がいますが、気にすることはないです。

レッスン代を払っているということは、「わからないものはわからない」とハッキリと言えて、具体的にどうすればいいのかを教えてもらえるということですよ。お金を払っている以上、もっと図々しく積極的に質問してください。良いコーチは生徒からの質問は大好きです。生徒が何を理解できてないか(何を勘違いしているのか)がわかれば、とても教えやすいのです。

(ちなみに、私の生徒はガンガン質問してきますね。他のコーチのアドバイスについてまで質問してきます。)

それから、「周りにいる他の生徒に気を使う」という人もいます。これも気にすることはないです。

これを気にして対処しなければならないのはコーチです。当たり前でしょ。アドバイスが理解できないのはコーチの責任。理解できないことについて質問したのは、コーチのアドバイスが下手だからです。

質問する生徒は何も悪くないです。(「動きの説明はコーチの義務」「動きの説明は生徒全員が理解できなければならない」ということを過去記事に何度も書いています。詳しくは過去記事を参照してください)



具体的なアドバイスとは、どういうことなのか?

例えば、生徒の腕を「腕を曲げたい」とします。

私ならまず、「腕のどの部分を曲げるのか、どのタイミングで曲げるのか、どれぐらい曲げるのか、どっちの方向に曲げるのか、それらをさせるにはその腕以外の身体の体勢はどうすればいいのか」を頭の中で言葉にします。

それから、生徒に実際の動きを見せながら、その言葉を必要な分だけ添えていきます。ここでの「必要な分だけ」というのは、理解の仕方は人によって違うので、各人の理解度に合わせて言葉を選んでいくということです。

これでもできない場合は、矯正にかかります。例えば、直前の動き(腕を曲げる直前に、しっかり伸ばしておく)や、頚反射(顔が向いているほうの腕は伸びやすく、向いてないほうの腕は曲がりやすい)などで動き変えていきます。

「生徒の腕を曲げたいが、生徒はなかなか腕を曲げてくれない」となった場合に、「もっと腕を曲げなさい」「しっかり腕を曲げなさい」「グッと腕を曲げなさい」などと言うことはないのです。

そんな言葉で自分が思っている「腕の曲げ」と、生徒が思っている「腕の曲げ」が同じになることなどない。