動きを矯正する時(又は動き方を教える時)、生徒の身体に触れて教えるという方法があります。
指導者が、生徒の身体を動かしているので、生徒は動きを間違うことができない。
とても便利な方法ですが、これはかなりレベルの高い教え方になります。
詳細。
生徒の背後に立ち、右手で、生徒の右手を上から触ります。
左手は、生徒の左肩に。
これで身体の開き具合を調整します。
身体の開きを抑えたいときは、左の掌を、生徒の左の肩甲骨に当てても良いです。(ボレーを教える時によく使います)
左腕の動きが大切だと思えば、左手で、生徒の左手首を持っても良いです。(サーブの振りを教えるときによく使います)
指導者が生徒の前に立って、ラケットを引っ張るように動かすのではなく、生徒の後ろに立って、ラケットを「押す」「ぶら下げる」「垂らす」「振り落とす」「放り投げる」「解く」「突き放す」ように動かさなければならない。
この状態で、実際にボールを打つ。
・どのように、ラケットを動かすのか
素振りはできても、ボールがくると全く違う動きをする生徒がいます。
このときに正しい動きだけでなく、生徒の間違った動きも説明しながら、交互にやってあげてください。
これをやることで、生徒は「動きを分ける=動きが解る」ようになります。
・どのタイミングで、ラケットを動かし出せばいいのか
動き方を知っていても(素振りはできても)、それを使うタイミングがわからないということが多いです。
これも、生徒の間違ったタイミングと、正しいタイミングを交互に説明しながらやると良いです。
これら2つをやったとき、もう一つやることがあります。
実際にボールがくると、生徒は自分でラケットを動かそうとします。
そのときの生徒の力の方向と、そのタイミングを感じる。
これで、生徒の誤解を知ることができます。
「そっちに、そんなに強く動くのか。もっとこっちに軽くでいいのに。」
「そんなに遅い動きだしでは、面の向きは安定しない。2テンポ早くないとダメだな。」
などの動きの違いを探ります。
これは、とても大切です。
生徒に触れてやった後、言葉でのアドバイスがしやすくなる。
生徒の誤解を知ることができるから、アドバイスができる。
生徒に触れて教える際、最も大切なことがあります。
それは、力加減です。
下手な指導者は、「軽く」「弱く」「優しく」「力を抜いて」「強すぎる」と言葉だけで繰り返します。
それらの言葉自体は簡単で、誰でも理解できます。
ですが、「どれぐらい?」という加減は、まったく伝わりません。
「確実に誤解がある」ということを指導者は知っていなくてはなりません。
これは生徒の運動能力が低いのではなく、当たり前のことです。
言葉で伝わらないなら、感じさせれば良い。
生徒の手を持って、「ほら、こんな弱い力で、ボールを打つことができるんですよ」と言いながらやれば、その力加減の誤差は縮まっていきます。
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どんなに間違っても、生徒の手をグイっと握りしめたり、身体を力任せに動かさないようにしてください。
できるだけ弱く、そして(難しい動きを)簡単そうに伝えなければなりません。
それから、
「私がやるので、力を抜いください」と伝えても、どうしても力を入れてしまう生徒がいます。
生徒が動こうとする力の方向を、無理やり変えたり、真逆に動かすとケガをさせてしまう。(一発で酷い怪我になるので注意)
一気に動きを変えるのではなく、徐々に変えていくようにしてください。
まずは、子供から試すといいです。
身体が小さいので操りやすく、強い筋力もないので怪我をしにくいです。
とても有効な矯正法ですが、自信がないならやらないほうがいいですね。
なぜなら、すぐに理解できるということは、簡単に誤解もできるということだからです。
また書きます。