2015年フランス 日本公開2017年1月
監督ロシュディ・ゼム
オマール・シー/ジェームズ・ティエレ
(C)2016 Gaumont / Mandarin Cinema / Korokoro / M6 Films
【雑感その１】
あんまり映画の評価が高くなかったので心配していましたが
それなりに面白かったのでよかった。
地味ではありますがテンポもはやくダレることはなかった。
内容も難しいものではなかったし。
実在したフランス初の黒人芸人ショコラとその相方フティットの半生を描いた
作品となっております。
時代背景や物語の舞台となるのがサーカスだったりで
貧しく、全体的に辛いというか、芸人のお話でありながら寂しさやもの悲しさが漂います。
つまりこの映画は人種差別が深いテーマになっています。
フランスでも人種差別ってあったんだなって気づかされました。
芸人として笑われいるんじゃなく
黒人が白人に蹴られて笑われている。
その葛藤がみていてツライ。
という全体的にトーンとしては暗め。
けれど良作ではあると思います。
【あらすじ】
20世紀初頭のフランス。
小さなサーカスの団員だった黒人のショコラと白人のフティットはコンビを組んで
人気をとっていた。
そんな2人はいつしかパリの名門ヌーヴォ・シルクの専属となり絶大なる人気となり
瞬く間に一世を風靡する。
しかしショコラは黒人であるがゆえにその根強い人種差別に
苦しめられることになる。
【キャスト】
黒人芸人ショコラを演じるのはオマール・シー。
『最強のふたり』で世界的に有名になりました。
ハリウッド映画でもしょっちゅう出演していますし、母国フランスでの好感度も
非常に高く人気者。
わしもオマール・シーは大好きです！
表情豊かでこのショコラという役でもいろんな顔をみせてくれたてたように
思います！
芸人フティット役にジェームズ・ティエレ。
チャーリーチャップリンのお孫さんなんだそう。
ということはゲームオブスローンズに出演してたウーナ・チャップリンとは
いとこになるのかな。
とっても魅力的な人だなと思いました。
なんか、どことなくジャック・ぺランに似てるかな、なんて。
非常にこの映画の雰囲気にあってて惹きつけられました。
【雑感その２】
良作ではあるんですが難癖つけるなら
感情移入しにくいところ。
フティットとショコラの間の友情みたいな絆も感じられなかったし
フティットが何を考えているのか全然わからない。
そしてショコラ、彼もああなったのは自業自得ではあるんだけど
その根底には人種差別の苦しみがあったのもわかる。
でもそのバランスが、見ているこちらとしては、どちらに重きをおいてみればいいのか
わからない。
なので2人ともに感情移入できないんですよね。
ショコラも芸人として才能があったんだろうけど
そこのところももっとフティットが評価してあげる場面が欲しかった。
もっと友情とか、ショコラが捕まったときとか必死になって助けてあげるフティットの
姿が見たかったなと思う。
実際の芸人コンビなんてのはほんとはそんなもんかもしれない。
これだけ要素があるなら
さらに良くできると思うんだよね。もっと化けれると思う。
ちょっともったいなかったなと思った。
これは一緒に見ていた姉が言ってたことですが
もしかしたらフティットは同性愛者なんじゃないかな？と。
それを聞いて、色んな疑問に納得がいった。
そしてフティットはショコラが好きだったのかもしれないね。
この映画でショッキングだったのが
人間動物園とも言われている植民地博覧会というもの。
このネーミングから想像できる通りのものです。
挙句の果てに白人がその柵の中にいる黒人にお金を投げるとか。
絶句。
あと2人のポスターの絵でショコラが猿の絵になってたりとか。。
ラストにリュミエール兄弟が撮影した
実際の2人の映像が流れるんですが
ショコラを演じてるオマール・シーが大きいせいか
本物のショコラがすごく小柄な人でびっくりしました。
そしてそんな彼がギャンブルとかに溺れるようにはとうてい見えなかった。
実際の映像を見るとより悲しくなるっていうね。
なんかね。
映像も写真も本当に残っているので興味があれば是非調べてみてください。
実際に映画の公式ＨＰ にも載っています。
ただ悲しい、つらいだけじゃなく
ショコラにはフティットがいたんだよってもっと強く思わせるエピソードが
あれば見てるこっちも救われたのにな。
彼がフティットの存在のありがたさに気づけてたらこんな最期にはならなかったはず。
やっぱり人種差別って想像以上に厳しいものであることを
つきつけられたように思いました。
そしてショコラの名がもっと世界に知れ渡ってほしいとも思った。
2017-④