前回の続き。
Ｕ１４ナショトレの早熟度について考えます。
ただ、この結果をもって身長や早熟晩熟の有利不利を主張するつもりはなくて・・・。あくまでも、公表されているデータを元に行った考察です。客観的な傾向を知ることで今後、雲の上の存在に追いつき、違いを出すためには何が必要か・・・を知るための分析でもあります。
まっ、単に私が身長オタクなのです。はい。
◆◆◆
前回同様、母集団は２０１７年、関東および関西選出のナショトレメンバーです。
中２春の身長から８年後、２２歳を迎える選手の最終身長がどの程度まで伸びているか・・・を調査した結果がこちら。
【Ｕ１４の平均身長→平均の最終身長】
◆関 東：１６４・４→１７１・０センチ
◆関 西：１６８・８→１７４・５センチ
◆東西計：１６７・１→１７２・７センチ
中２時点では高身長であるものの、最終身長はＪリーグの平均値（１７８）には達しない結果だったことは、前回記した通りです。
文部科学省が毎年実施している学校保健統計によると、中２春の平均身長は１６１、高３は１７１。
そこから算出すると、平均的な日本男性は中２から高３までに約１０センチ伸びるのが一般的、ということになります。
つまり、中学時代は「成長期真っ最中」という男子が多いはず。
一方、ナショトレメンバーの伸び幅の平均は５～６センチ。平均的な伸びと比べて約半分にとどまっています。
それはなぜなのでしょうか。
考えられることは２点。
◆ナショトレメンバーは成長期の終盤に差し掛かっている選手が多い
◆何らかの要因により、本来伸びるべき分を逸している可能性がある
後者だったら切ないな・・・と思ってしまいました。
睡眠不足、練習過多、栄養状態の悪化・・・。成長を阻害する要因はいろいろありますが、サッカーをがんばった結果、思ったよりも身長が伸びなかった・・・のだとすると、親としてはつらいです。中２から高校にかけては、サッカー少年ならば「もう少し身長を伸ばしたい」と願う時期だからです。
「練習過多」についてはこんな記事も見つけました。
このクラブ、息子たちもカップ戦で対戦経験があります。
ただ、記事が指摘している「サッカーのしすぎにより、中学２、３年生の時期に身長が伸びない」問題は、身長データだけでは検証のしようがない（実際にそれが要因なのかがわからない）ため、「早熟か否か」について具体的に見ていきます。
ナショトレメンバーの「中２春以降の身長の伸び幅」（最終身長との差）は以下の通りでした。
◆10センチ以上：３人（１１％）
◆５センチ以上：８人（３１％）
◆４センチ以下：１５人（５８％）
一目瞭然の結果となりました。
学校保健統計に基づく平均的な「１０センチ」の成長が見られたのは３人。伸び幅から見ると、過半数は中２の段階ですでに成長期の終盤だったと思われます。
毎度おなじみのサイト「スクスクのっぽくん」によると、成長期はスパート開始から２年は大きく伸びる時期が続き、次第に収束します。
平均的な年間伸び幅は、
９、９、４、２、１･･･で計２５センチ。
身長の伸び方には個人差があり、上記の阻害要因や遺伝などが絡んでくるため断定はできませんが、中２から最終身長までに４センチ以下しか伸びていないのであれば・・・
一般的に考えて、成長スパート開始から３年が経過していると思われます。
そこから推察される成長スパートの開始時期は小４の終わりから５年の初め。
つまり１０歳です。
一般的なスパート開始は１２歳前後とされているため、身長の伸び方だけを見れば、かなりの「早熟」と言えます。
学校保健統計によると、
小４春の平均は１３４・０、
小５春は１３９・７。
この身長の前後から成長スパートが始まっているとすると、３０センチ伸びても最終身長は１７０に届きません。
つまり、１７年春のナショトレは早熟型の選手が多く選出された結果、最終身長の平均が１７０センチ台前半にとどまったのではないか。
そう考えて矛盾はないだろう、という結論に達しました。
・・・今回の考察、ドングリクンパパさんの過去の投稿を拝見してから、ずっとやりたいと思っていました。
パパさんはＵ１２の分析でしたので、今回はＵ１４で。合わせて読んでいただくと、今回の結果がよりわかりやすいかもです。
早い時期から評価を受ける選手は、身体的な成熟度（単純な身長の高さだけでなくテストステロン値）がプレーに好影響を与えている可能性がある（もちろん例外もある）。
では、それに当てはまらない場合はどうすればよいか？
次回は、体の成熟度がプロになる上でどう影響したか、を考察します。長くてすみません。ナショトレシリーズは次が最終回予定です。
ご興味のある方はおつきあいください・・・