荒ぶらないで。穏やかに頂きましょうよ。ね。
カクテル‘‘カミカゼ’’はウォッカ、コアントロー、ライムジュースを同量30mlずつ組み合わせたものがオリジナルレシピですが、日本ではよりスタイリッシュにドライに仕上げるレシピが一般的です。


オリジナルレシピの刺激的なアルコールの強さは「カミカゼ」のネーミング由来の一つと思われますが、いざ口にしてみると甘味と酸味のバランスがウォッカのパワフルさを包み込み、穏やかな飲みやすさが持ち味と気付きます。
そこに、考案者はネガティブではない思いを込めたのではないか、と私は感じました。

カクテル誕生のエピソードははっきりしません。大戦後の横須賀の米兵によって作られたとか1974年ボストンのバーで生まれたとか云われています。
どちらにせよ考案者の「ネガティブではない思い」は、その味わいに込められているでしょう。

神風特別攻撃隊への思いはアメリカに於いても様々で、否定的な意見が多くあるなかで、マイノリティの中に「特攻隊員の精神の偉大さに敬意を払う」とする考えもありました。
これが考案者の思いと通じるでしょうか。
私はその思いを汲みたいと思いますのでオリジナルレシピを尊重しますし、シェークをソフトに長めにして味を丸く優しくまとめるようにしています。

このカクテルは穏やかな気持ちでいただくのがよいのかな、と思いますゆえに。


《レシピ》

・ウォッカ・・・・・・・30ml
・コアントロー・・・・・30ml
・ライムジュース・・・・30ml

●シェーク

ブルームーンは妖しい香り。そして妖しい色。神秘的な名前。サジェスティヴに三拍子揃ってるね。
バイオレット(すみれ)リキュールは媚薬効果を秘めた酒として、17世紀以降フランスでパルフェタムール(完全なる愛)なんて名前が付けられて大人気でした。
1890年代にアメリカでリリースされたのが“クレーム・イヴェット”。
フランス産の人気にあやかり作られたバイオレットリキュールです。


当時人気の歌姫“イヴェット・ギルベール”の名前が付けられたリキュール。このリキュールの販促カクテルとして誕生したのが『ブルームーン』だったのです。


ネーミングのインスピレーションは1883年インドネシアのクラカタウ火山噴火にあるかもしれません。火山灰の影響なのか、噴火後しばらくは月が青く光っていたそうなので。

そのインパクトは、恰好のモチーフとされるに充分なものであったことは想像に難くありませんね。


妖艶な美女の名を冠した、媚薬効果を秘めたバイオレットリキュールで作り上げる、青い月と名付けられたカクテル。

誕生から100年を越える時間を経た現代でも、その妖しく艶めく魅力は色褪せることはありません。


《レシピ》


・ドライジン・・・・・・・・・30ml

・バイオレット(メラーナー)・・ 15ml

・レモンジュース・・・・・・・15ml


●シェーク