・ 由香の 結婚感 (二)
「こんばんわ、おじゃましますー」
玄関の方から 聞こえる声に、由香は「 はぁーい・・」 と応えながらその方へと向かい、母の由布子も由香の後に続く。
そこには、紙袋を手にした綾乃と裕樹さんの姿が・・
由香と由布子は並んで立つと、
「いらっしゃい。・・それに、お帰りなさい。裕樹さんも、、いらっしゃいませ。
二人が無事に帰って来てくれたのが嬉しいわ。」
「式のことから・・何かと お世話をお掛けいたしまして、ありがとうございました」 お辞儀をしながら 祐樹さんは母と挨拶を交わす。
「そんなの・・さあ どうぞ、二人とも お上がりなして・・」
綾乃は旦那様となった裕樹の顔を見やると「 上がらせて いただき ましょうか・・」
綾乃は 母の横に立つ由香に、紙の袋を差しだしながら、
「由香ちゃんも、ありがとう・・これ、お土産。ありふれたものだけど・・」
「あ り が と う・・こんなに たくさん! 」 お礼を 言いながら紙袋を受け取り、
リビングの方へと歩きながらも、袋の中に見える数個の物はアノ方とのキッカケができたと、嬉しさがこみあげてくる。
「夕食の準備、お手伝いするから、、祐樹さんと話でもしてて・・」
ダイニングの方へと向かう綾乃の後ろに目をやる由香は・・
”すべてがラブラブのハネムーン”だったようね。”
でも、彼氏と彼女のような関係よりも新妻となり、夫婦としての濃い繋がりを思わせるとともに妻の立場としての役目を果たすことを感じさせるかのよう・・。
母とお姉さんが・・並べ終えた夕食の数々。 母は祐樹さんをたてるべく、
「お父さん、この週末も遅くなるように言ってたから、先に皆でいただきましょうか。・・裕樹さん、こちらへ どうぞ・・」
「・・ここは、いつものお父様の席じゃ ないんですか?」
「いいのよ、、今は居ないんですから・・」
会話も弾むなかに、おみやげのワインも注がれ、、食事が進むなかにおいても、母の由布子は 娘の結婚はとても嬉しく思い、孫の顔が見れるのも、それほど遠くはないように思える。
久しぶりにも思える、にぎやかな食事を終えると・・
「・・あちらのソファーの方で ゆっくりとしていただいたら・・」
由布子は三人を気使って 言葉をかける。
多くの おかたずけを、申し訳なく思いながも、それぞれの口からは ”ごちそうさま”
の言葉が ついてでる。
リビングのソファーの横に来た由香は、
「・・お姉さん、この結婚を機にグッと新妻感が滲み出た感じ。お二人にとってこのハネムーンは有意義だったようね。」
「お兄様も、、この二人でのハワイは楽しかったでしょ。お二人の様子からは、ラブラブな感じばかりしか思い浮かびませんもの」
祐樹と綾乃は 顔を見合せ、何かを思い浮かべるかのように微笑む。
ソファーの傍に立つ、綾乃姉さんの初夏を先どるかのようなコーディネート。
ブラウスは淡いイエロー、、爽やかな感じ そのものでもあるのだが、
視線の先に見えるその胸の膨らみは、こころなしか大きくなったようにも思え、、
きっと祐樹さんは綾乃姉さんの身体を見て、改めて惚れ直したのではと、有らぬ想像までしてしまう由香。
下半身には細く伸びるホワイトベージュのパンツ。その容姿からもスタイルの良さを感じさせ・・
その ヒップの形良さもお姉さんの魅力の一つなのよ。裕樹さんにも見せつけてあげ
たら と 言わぬばかりに、
「これは、ラックに掛けて置いてあげる」 と 綾乃が手にするトップスを受け取る。
由香は二人並んでにソファーに腰かけることを勧め、
由香は裕樹さんと綾乃の顔を交互に見つめ、 お姉さんの方はまったく日焼けした感じを思わせないのに、裕樹さんの顔には、少しの陽に焼けた様子をみつけ・・
「・・お姉さんは まったくと言っていいほど陽焼けしてないのに、、お兄さんは少しだけ赤くなってるかのよう、、精悍さ、とまではいかないにしても、イケメンさが増してる感じですよね 」
「私は 日焼けするのがいやだから、二人で日焼け止め塗り合って、なおかつ陽に当たらないようにホテルの部屋にいる方が多かったのよ」
・・そのような状況を思いうかべ、由香はニッと笑みを浮かべる。 そこへ、
「・・コーヒーばかりだったでしょうから、お茶でもどうぞ 」 と
由布子は皆の前に緑茶を差し出した。 すると、由香が、
「 お母さん・・私も結婚したくなっちゃった」