日本もハリウッドも怪獣映画はすっかり下火です。

 子供はもちろん、オタクですら見向きもしなくなってしまったとか……。ハリウッドの超大作「キングコング」もコケたし、日本の「ゴジラ」シリーズは打ち切りになってしまいました。

 そんな中、大映の受け皿となった角川映画が「ガメラ」の新作を封切りました。

 ガメラといえば、ゴジラからすれば二番煎じのシリーズですが、平成のガメラ三部作は名作ですし、怪獣映画を応援したいので、さっそく劇場へ駆けつけました。

 今回のガメラは、ハードな金子修介監督のシリーズとは異なり、子供向けのファミリー映画として製作されました。

 ガメラのデザインもぱっちりとした目のマンガ顔で、主人公は小学生です。
 ゴジラもガメラも全盛期はファミリー映画だったので、あるべき枠に戻ったともいえますが、あまりに大胆な路線変更なので、期待と不安の入り混じった複雑な気持ちにさせられました。

 ストーリーはいたってシンプルです。父子家庭の一人っ子の少年が伝説の守護怪獣ガメラのタマゴを拾い、ただの陸ガメと思って育ててみたら、これが巨大なガメラになってしまいます。クラスメイトの協力の下、大人たちの目を盗みながら育てますが、そこへ人食い怪獣が現れての後半は怪獣のバトルですが、3分の2はガメラを育てる少年の話です。

 私はポケモンもデジモンも見たことありませんが、少なくとも「ドラえもん のび太の恐竜」そのまんまなプロットです。

 結局、東宝になっちゃいました。なぜ、ガメラが少年に育てられなくてはいけなかったのかという因果関係が皆無ならば、いっそのこと「のび太の恐竜」や「フリーウィリー」みたいにガメラを島へ返す話にしちゃえばよかったのにと思います。

 それでもクライマックスの子供たちのガメラ・リレーはそれなりに面白いのですが、これもやはり唐突感が否めず、あともう一歩のところで感動できませんでした。

 ただ特撮は絶品です。

 最新の怪獣映画のことだけはあります。ビルなどのミニチュアモデルも精巧なので、アクションシーンの迫力は大変なものです。

 子供とガメラと戦闘という三題噺をどのようにすれば成立させられるのでしょう。

 亀といえば浦島太郎ですから、瀕死の仔ガメラを偶然助けて海に返してあげたのを理由に、宇宙怪獣の襲撃から人類ではなく、あくまで少年を助けにガメラが帰ってくるという「ガメラの恩返し」なら、ファミリー映画として、なんとかなったりはしなかったでしょうか。