旅の醍醐味は「期待はずれ」だ。

 あれほど憧れた風景だったのに、辿り着いてしまったらどうってことなかった。いつも、手に入れてしまったものは期待はずれ。でも、そんな過去を大切にしまっている自分がいる。期待はずれだろうが何だろうが、それを背負って今を生きてる。その道を通って来たのが自分ならば、その道を消したくない。これまで見てきた景色を失いたくない。目指す場所が全てか?と言われれば、むしろ手に入れたものが全て。本当の意味で戻れる場所なんて多分ない。


 学生最後の1年をかけて、俺は掃除をすることにした。俺は持ち物が多すぎる。こんなに物を持って旅には出れない。大切なものほど、手放すべきだということを知った俺は、その全てをみんなにあげることにした。俺にとっては全部が宝物なんだ。だから手放すことにした。もらい手がいなくても捨てる。捨てるものは写真に収めて、それを数々の詩と共にスクラップブックにする。最後は自分の写真を撮ってもらって、みんなに捨ててもらおう。最後に何が残るか。多分地図だけは捨てない。なぜなら、それは手に入れてないものだから。さぁ、荷造りの始まりだ。


捨てることと失うことは違うんだと知った。
手放すことができた時こそ、本当に手に入れたときなんだろう。
手放したくないのは、まだ本当の意味でそこに辿り着いてないから。


全てを手放した時、何も持たずに旅に出た時、俺は全てを手に入れる。

give it away now!