「月刊日本」にコラム記事を連載している石塚べりるさんは、
2020年に刊行された保坂延彦著「広島の二人」を、
広く海外の人にも知ってほしいと友人を通じて依頼され英訳しました。
このほどそれが映画化されることになったと記事で報告されています。
どんなお話かというと(以下記事を引用)
<舞台は安岐の浦の俘虜収容所、
米兵アーサーと収容所を管理する藤田軍曹を中心に展開する。
戦況が悪化し俘虜たちへの扱いは過酷さを増し、・・・
耐えきれなくなったアーサーが逃亡を図るが藤田軍曹に追い詰められる。
二人が対峙したその時、原爆が投下され・・・俘虜たちもまた被爆したのだ。
アーサーは原爆を投下した国の兵士でありながら被爆者になった。
藤田とアーサーは敵味方でありながら同じ運命を分かち合うことになった>
アメリカのレーガン元大統領の「核戦争に勝者はいない」を思い出します。
<この映画の完成には二年を待たないとならないが、
改めて戦争について考える一助になることを願ってやまない>
というべりるさん。「平和」教育とは「戦争」を学ぶことなのですね。
<私が子供のころはまだ、夏休みを迎えると漫画雑誌に、
戦争や原爆を取り上げる作品が掲載されることが多かった。
時には正視に耐えない描写もあり、
子供の目には決して快いものではなかったものもあったが、
感受性豊かな時期に読めたことは大きな影響を及ぼしたと思う。
こんな目に遭いたくない、
こんな目に家族を遭わせたくない、
二度とこんなことが起きてほしくないと、
幼心に思った人は多いだろう>
<戦争を知らない子供たちも大人になり老人になった。
だが知らないということは、
「無自覚」「無責任」でいていいということにはならないだろう>
今は原爆を知らない若者がいる、と嘆く高齢者がいますが、
それは身近にいる大人たちが「戦争」の話題を避けてきたからです。
若者に夢ばかり見せてきた「ものわかりのいい大人」に責任があるのです。
ノンフィクション作家の梯久美子さんは著書「戦争ミュージアム」の中で、
「東京大空襲 戦災資料センター」を紹介してこう述べます。
<戦争関連の他の資料館と同様、
このセンターも学校単位で訪れる中高校生が多い。
若い人たちにぜひ見てほしいのは言うまでもないが、
現在の日本では戦争を知らないという意味では10歳も70歳も同じである。
死者と知り合い、遠ざかる戦争の記憶をつなぎとめるために、
あらゆる世代に足を運んでほしい場所だ・・・>