このミス大賞で有名になった作品です。
本屋に単行本の赤い表紙が必ず見える位置に置いてあったため、ずっと気になってはいました。
しかし、単行本は高いのと、収納に困るのと、私は通勤時に本を読むのがメインなため、大きい単行本には手が出せず・・・。
そうこうしているうちに、シリーズ2作目「倒産続きの彼女」(こっちは黄色い表紙が印象的ですね)が出るにあたって、1作目「元彼の遺言状」が文庫化してくれました!
本が読みたい気分(定期的に波が来る)だったため、本屋で購入し、読みました。
↓これです。
<あらすじ>
主人公の剣持麗子(けんもち れいこ)は大手法律事務所の弁護士。アラサーにして年収2,000万円のバリキャリ。
ある日、大学時代に付き合っていた資産家の元彼が、亡くなったこと、そして奇妙な遺言「自分を殺した犯人に、全財産を譲る」を残していたことを知る。
主人公は、元彼の友人から「インフルエンザの病み上がりに彼と会った。彼はインフルエンザが悪化して死亡したんだけど、僕は殺人犯になるのだろうか」と相談を受ける。
主人公は、「殺人犯の代理弁護士」として億を優に超える成功報酬をいただくため、元彼の遺族に向けて、友人を「元彼を殺した殺人犯」に仕立てるためにアプローチを開始する。
そうしているうちに、新たな死亡者、元彼の死の不審な点が見えてきて・・・。
<感想>
■新しいヒロイン像
しきりに「新しいヒロイン像」と書かれているのが理解できました。
まず、冒頭のシーンのインパクトがすごい。
主人公がプロポーズされるシーンから始まるんですけど、指輪を渡されてキレるんです。「私、この指輪が欲しいって言った?」と。
今彼は大慌てで、「君が指輪にこだわっているなんて知らなかった。代表的な婚約指輪は40万で、この指輪は20代後半にしては色を付けた価格で」と妥当性アピール+謝るのに対し、主人公:剣持麗子(名前がまず強そう)が「平均が40万なら120万の指輪が欲しい女なの」という持論を展開するんですよ。
女性主人公が怒るシーンって女性からすると共感できることが多いんですけど、これには共感できない!笑
でも、「どうしても欲しいものなら、なんとしてでも手に入れるためにどうにかするでしょ。その程度の女だと思われてるなんて心外」という彼女の考えは、ちょっとわかる気はしました。
そんな感じで、強烈なインパクトをもって、主人公が「お金が大事」「自分を高く見積もっている」女性なことがわかる手腕は見事だなと。
また、その次に展開されるのは「ボーナスが250万で『低すぎる!』とキレる麗子」です笑
ミステリー物の探偵役の女性は、麗子のような「高飛車」「バリキャリ」系統なら、4・50代の成功した独身女社長・女医のことが多く、若い「高飛車」はコミカルな「お嬢様の目は節穴でございますか?」みたいな扱いを受ける気がします。
また、お嬢様系探偵は「実家が金持ちで大盤振る舞いでぶっ飛んでいる」ということが多く、ミステリアスな女探偵の場合、主人公の語り部は男性で、その女性に恋をしていることが多いです。
本作は、20代・実家は金持ちなわけではない・バリキャリ・お金に目がない・高飛車という、なかなか主人公に珍しい女性像です。
この手の女性は、「嫌味な女性」としてサブキャラにされがちです。
そういった点でも、「新しいヒロイン」だな、と思いました。
■お仕事小説ともいえるような現実的なミステリー
殺人事件なので、「あの日何があったのか」とか「犯行動機は」とかのベタな話はあるんですが、ミステリーがいつだって法や行政手続きの面が透明化されやすい反面、この小説は妙にリアルです。
「法定相続分があるから財産として報酬は**円にしかならない」とか、「公序良俗に反する内容だから遺言の内容が無効になる可能性がある」とか、大会社の内部派閥を利用した「犯人仕立て上げプレゼン」など、社会的なリアルな話が多いです。
結構「む、むずかしいな・・・」と感じてしまいました。
孤島の館ものミステリーとは全然雰囲気が違います。
この、現実的な要素が、最終的に「うわ~なるほど~~」というようなオチへとつながります。
それにしても、同年代で2000万稼ぐ主人公、フィクションといえども「いいなぁ・・・・・・・・・」となってしまいました![]()
それにしても、久々の読書は楽しいですね。
火がついちゃって、3週間足らずで、この本を含め6冊小説を読みました。
