すべき事は全部した。

後はベッドへ向かうだけ。その、だけ・・・がなかなかに難しい。

ミネラルウォーターを握り締め、僕はなかなかソファから立ち上がれないでいる。

心臓の音が煩いくらいに耳へと届く。

ああ・・本当にどうしよう。

するにしてもされるにしても、何をどうしたら良いんだろうか。

クロフにもう少しあれこれ訊いておけば良かったなぁ、すんなりと教えてくれるかどうかはあやしいけど。

「何だここで待ってたのか」

「うん。はい、お水」

thank's

勢いよく半分くらいミネラルウォーターを飲んでギイが僕へと手を差し出す。

「お待たせ、行こうか?」

「・・・うん」

その手を取って大人しく後ろをついて寝室に。

毎晩並んで眠っているのに今更どうしてこんなに緊張してしまうんだろう。

「緊張してる?」

「うん」

「オレも」

「そうは見えない」

「でもしてる」

取られていた手はギイの心臓の上に重ねられる。

ドクドクと心臓は力強くそして早く動いていた。

「な?」

「うん」

「優しくするから」

するから、と言う事はギイがする方で僕はされる方?

だよね、うん。じゃないと本当に大変な事になる。

大変になると言えば、コレも伝えておくに越した事はない。

「僕、こう言うの初めて・・・なんだ」

「そうか。なら尚更、とびきり優しくしないといけないな」

言うが早いか僕の体は掬い上げられ、俗に言うお姫様抱っこをされてしまう。

「ギイっ!?」

「やっぱり。思ったとおり、いや思った以上に軽いな。ちゃんと食べないとダメだぞ?」

「食べてるよ」

「そうか?でもこれからは今まで以上に食べないと、体が保たない」

「どうしてさ?」

「どうしてってそれは、」

話しているうちに辿り着いた寝室、大きなベッドに僕は静かに降ろされる。

「それは?」

覆い被さってくるギイを見上げながら訊ねた僕に、

「これから分かるよ」

ギイが何とも言えない妖しさを含んだ微笑みを浮かべて、そしてそのまま僕を甘く激しい熱の海へと攫ってしまった。