初めての楽読体験、スクールのテーブルには先輩受講生が3人、もうすでに授業を始めているようだ。
「けーぽん、好きな色を使って書いてくださいね。いろいろな色を使って書くと脳が活性化します」
と、りゅうちゃんにセミナー受講申込書を手渡される。
「赤、緑、青、オレンジ、紫、黄色……」
筆立てには大量の色鉛筆や、サインペン。
自分の住所、氏名を赤と緑の色鉛筆で記入。
「セミナースタートから、常識の壁を揺るがしにくるんだ。なるほど、ヤバいと言われるはずだ」
耳に入ってくるのは、先輩受講生たちの「80万文字です!」「126万文字!」という声やチュルチュルチュルという謎の音声。
「緊急事態発生!眼の前の現実と、自分の持っている常識を照らし合わせるモードに突入します!」
心の中の「常識を持ったけーぽん」がそう叫ぶのが聞こえた。