偏光板は立体メガネやサングラスなどに使われていて、私たちにも身近なものになりました。偏光板を使うといろいろな色を出すことができます。これもまた広い意味での構造色です。

2枚の偏光板を用意します。偏光板には向きがあって、同じ向きに重ねると左の写真のようにただ重なるだけですが、片方を90度回転させると、右の写真のように重なった部分だけが黒くなります。つまり、偏光板の向きを互いに90度にすると光が通らなくなるのです。

液晶テレビや液晶ディスプレイにも偏光板が使われています。

上の写真は偏光板を液晶ディスプレイの前に１枚だけ置いたものですが、置く向きによって透き通って見えたり、真っ暗になったりします。液晶ディスプレイの中にも偏光板が入っているからです。

さて、この偏光板2枚を使って色を出してみましょう。これは簡単で、2枚の偏光板を暗くなるように重ねておき、その間にいろいろなものを入れるだけでよいのです。

まず、プラスティックシャーレを入れてみましょう。

綺麗な色が現れました。もともと色のなかったものに、シャーレという構造のために色が付いたので、広い意味での構造色といっていよいでしょう。構造色だといっても微細な構造でなくてもよいのです。

この色はプラスチックの歪みと関係しています。写真を見ると、右隅が特に大きく歪んでいることが分かります。割れるときはきっとここから割れるでしょう。同じような実験はプラスチックの三角定規や箱などもできます。つまり、偏光板2枚があれば、プラスチックの歪みを調べることができるのです。

偏光板のどちらかにセロテープを貼ってみましょう。上の写真は、下から、１枚だけ、２枚だけ、・・・とそれぞれセロテープを重ねて貼ってあります。１枚の時は透明になるだけですが、２枚、３枚、・・・と重ねていくにつれて色が着き始めます。偏光板の向きを変えて同じ方向にすると、黒かった背景部分が透明になりますが、セロテープの方はちょうど補色の色が見えています。大事なことは偏光板の向きに対して、セロテープはだいたい45度方向になるように斜めに貼ることです。

セロテープを使ってこんな模様を作った学生さんもいました。

セロテープも繊維の向きが決まっていて、歪んだような状態になっています。歪んだプラスチックシャーレやセロテープの中を光が通過すると、色によっては2枚の偏光板を通りぬけられるようになるので着色するのです。偏光板が手に入ったら、是非とも偏光板を使った色遊びをしてみて下さい。（SK)

【参考】
偏光板はAmazonや楽天や東急ハンズなどで数百円程度で売っています。

構造色研究会のホームページ：http://mph.fbs.osaka-u.ac.jp/~ssc/

偏光板で構造色を！