以前の記事(→)でもかきましたが
やっぱり放射線は「お化け」なんでしょうかねぇ・・オバケ


あの後、たまり水やら土壌やらいろんなところから次々と
放射線が高濃度検出されたという情報が相次ぎ
今や世界のレベルでの危機感が高まりつつあります。

原発周辺、その数10km圏内での対応が必要なのはもちろんですが
なんだかテレビのニュースをみていると
正直、原発から数100km離れたところにいる自分も
危険なところにいるんじゃないかって気にさせられちゃいます。


そんな気になったとき、みるべき数値と
頭に入れておかないといけない概念についてお話します。


(ひたすら文章です。出来る限りわかりやすく説明していますのでがんばって読んでください。)



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①確定的影響


放射線の人体への影響には「確定的影響」と「確率的影響」があります。
おそらく一般にイメージされる放射線の恐怖というのは主に「確定的影響」ではないかと思います。


確定的影響には
脱毛、白内障、皮膚の損傷(やけどのような状態)、造血器障害、受胎能の減退(不妊)などの症状があります。
「急性障害」ともいわれ、放射線被爆後すぐに症状が出現します。

確定的影響は「一定量の放射線を受けると、必ず影響が現れる」現象です。
また、受けた放射線の量が多くなるほど、その影響も大きくなります。

この一定量の放射線は、1回の被曝量が約1000mSv(シーベルト)以上と言われています。
(脱毛、白内障、皮膚の損傷など各症状ごとに出現する値が異なっているので、詳細はこちら→

逆にいうと1回の被曝が1000mSv以下ではほとんど起きないとされています。
なので、放射線の受ける量を一定量の放射線(→しきい値)以下に抑えることで防げます。

やじおはぎ


ちなみにこの「確定的影響」は現場で決死の作業をしている作業員の方以外にはほぼ無縁と考えていいかと思います。



②確率的影響

で、どちらかというと私たちが受けるのは確率的影響の方です。


確率的影響は、一定量の放射線を受けたとしても、必ずしも影響が現れるわけではなく、
「放射線を受ける量が多くなるほど影響が現れる確率が高まる」現象です。

確率的影響にはガンや白血病、遺伝的影響などがあります。


前述の確定的影響では受けた放射線の量によって症状は重くなりますが、
確率的影響は被曝線量が多いからといって、確率が高くなるだけで、症状が重くなるわけではありません。

やじおはぎ


では実際にどれくらい確率が高くなるのか。

統計的に発がん率の上昇は100mSv以上でみられます。

具体的には、100mSvで発癌率が0.5%上昇。
200mSv(ミリシーベルト)では1%と、線量が増えるにつれ、確率も増えます。
増えるのは確率なので、仮に100mSv浴びた人と200mSv浴びた人がいたとして
二人とも運悪く、その0.5%と1%に入って発癌した場合、
200mSv浴びた人の方が重症な癌になるというわけではありません。

ちなみに、日本人の2人に1人が、癌になるので、もともとの発がんリスクは約50%です。
この50%が、50.5%あるいは51%に高まるという話です。



③みるべき数値

ここで先日紹介した関東各地の放射能可視化をみながら具体的に考えます。


実はこの表、誤解を生むかもしれないとモカチチさまからご指摘をうけましたので、
この場をお借りして補足説明させていただきます。
(モカチチさまご指摘ありがとうございます!)


$やじおはぎ

最近の東京の放射線量は0.1μSv/時間です。

仮にここに24時間365日間立っていたとして、
0.1×24×365=876μSv→0.8mSvです。
確率的影響のでる100mSvには屁のつっぱりにもならないことがわかると思います。


で、これ。

$やじおはぎ

11.4μSv/時間なので先ほどと同じ計算をして
11.4×24×365=99845μSv→約100mSv
さきほどの100mSvで発癌率が0.5%上昇という説明に矛盾しません。
(24時間365日外に立っていればね・・・)

ちなみに3/31の福島第1原発25km南では2.0μSv/時間なのでこれのほぼ1/5ということになります。
しかし確率的影響で影響がでるのは100mSv以上ということなので、
現在の原発25km南地点でも確率的影響はほとんど考えないでいいということです。


じゃあ、これ。

やじおはぎ

1000μSv/時間=1mSv/時間
100時間で100mSvに達します。
年間で計算したとすると
1×24×365=8760mSv=8Sv
さすがに確かにやばい。ということがわかるわけです。




ちなみに遺伝的影響について詳細なデータがみつからなかったのですが
いくつかの引用をみた限りではほぼ発がん率と同程度のものと考えてよいかと思います。



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0.5%の発癌率という数字は
わたしたちが生きていく上で本当に微々たる数値で
以前記事で紹介したタバコのリスク(喫煙者の方ごめんなさい)だけでなく
食品添加物、化粧品、洗剤などなど、考え出したらキリがないくらいの
発癌物質って世の中にたくさんあるんです。

もし発癌のリスクがこわいからといって癌の原因物質を日常から排除していったら
わたしたちは何も食べれないし、何も使えなくなってしまいます。
(参考までに発癌性物質リスト→


そして病気をみつけるための種々の検査(レントゲン、CTなど)
体にいいと思ってすすんで入る温泉、
気晴らしのための旅行で乗る飛行機の中でも被曝しています。
(身のまわりの放射線→


もちろん余分な放射線を浴びない、摂取しないに越したことはありません。

でも、その微々たる健康被害のために
どこよりも危険な現場で頑張ってくれている作業員の方々やその家族のこと、
被災地で不安な日々を過ごされている方々を応援する心を忘れないで欲しいのです。



放射線の影響といわれたときには
まず「確定的影響」のことをいってるのか
「確率的影響」のことをいっているのか
認識してから数字を確かめるようにしてください。



実際いまだにたまにごっちゃになってます。

認識としては、
一度に大量に浴びる→確定的影響
少しずつ徐々に浴びる→確率的影響

でいいかと思いますが、みなさまの見解はいかがでしょうか・・・



文章ばっかですんまへん。





―以下引用サイト―

http://tnakagawa.exblog.jp/15130220/

http://www.remnet.jp/lecture/forum/02_05.html

http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=09-02-03-05

http://www.atomin.go.jp/reference/radiation/body/index05.html





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