新邪馬台国伝宇宙編7<天王星前編>
土星を離れた宇宙船の次の目的地は、天王星でした。
今回の目的は地球が横倒しになした未知の天体を探すためでしたが、天王星も地球と同じ状態で公転しているため、天王星を調べればなにかその原因が掴めるかもしれないということで、今回の調査の最初の目的地となっていました。
勿論天王星が横倒しになったのは地球より遥かな昔の事でしたがもしかすると、同じ天体が原因だったかも知れません。
天王星も重力が強すぎて、直接降りることは出来ませんので衛星の中でも最大のチタニアに降り立つことになっていました。
チタニアがまた天王星に地球の月のようにいつも同じ地表を見せているのも大きな理由で、滞在日は天王星を1回公転する8日となっていました。
それまでの観測では、チタニアにはメッシーナ谷が表面で目立ち何か巨大な隕石が表面をかすめたように見えました。
あるいは天王星が横倒しになった原因がその隕石の可能性も考えられました。
大気は薄くチタニアからの距離も近く、望遠鏡で天王星の観測も容易に出来ました。
チタニアには観測所が一つあるだけで26世紀になってもあまり開発されていませんでした。
しかしここにはある秘密の建造物がありました。
実はこのチタニアには、マークを始め未だに他の地球人には、知られていなかった宗教団体が入り込んでおり、地球を天王星のように変えた神を信じるカリュスト派という宗教派の拠点になっていました。
カリュスト派の指導者はこの世の終末を信じておりこの天王星の神を信じることにより、自分たちのみが生き残ることができると信じていました。
マーク達がこのチタニアにやってくることは前もって知っていました。
彼らは、マークを自分達を追い出しに来た敵と思い込んでいました。
マーク達がチタニアの上空から地表を観測していると、正体不明の建物の存在に気が付きました。
マークは木星のテーベでufoを見てきた後だけにその建物も宇宙人の秘密基地だと思い込みました。
宇宙船には攻撃用ミサイルも積んであったのですぐさま船員に攻撃命令を出しました。
しかしコウユウは慌てて「ちょっと待ってください!マーク!」と言ってマークを止めました。
何故ならコウユウは置手紙を見て相手はコウユウの知り合いということで敵などではないということが分かっており、あの天女の住まいとも思えません!
「まず攻撃する前に、建物に行ってあそこがどんなところか確認する事です!」
「そうだそうだ!コウユウの言う通りだ!ウーイ・・・」コウユウのそばで赤ら顔の男がフラフラしながら言いました。
この男はドブロクスキーといって、最近コウユウと親しくなった男でした。結局マークも折れてコウユウ、ドブロクスキーも含めて建物の調査に出かけることになりました。
カリュストの会員達はマーク達が近づいてくるのを見て慌てました!
マーク達をどうしたものか、追い払ったものか?招き入れたものか?
結局友好的な態度をとって招き入れることにしました。
建物内に入ったマークはカリュストのメンバーの歓迎を受けました。
「これはようこそ、我が教会においでいただきました!
この未開の星を訪れていただく方は久しぶりでございます。」
「お前たちは何者だ!我々の地球からの情報ではここは無人の星のはずだ!」
「それは変でございますな?我々のカリュスト教団はきちんとこの星の土地を買い取り、税金も毎年納めておりますが?」
「そういうなら後で地球に確認してみるが、お前たちはこんな所で何をしている!」
「我がカリュスト教は地球の全人類を救う為にこの天王星までやってまいりました。
今の地球はこの天王星と同じ状態です。
この天王星の神が地球の人類に罰を与えたと思います!
その天王星の神の怒りを鎮めるために我々カリュスト教団がこのチタニアで祈りを捧げているのでございます!」
「どうも怪しい奴らだな?我々も天王星を調べるためにこのチタニアに滞在する!その間にお前たちの事も地球に問い合わせてみるからな!」
そういい捨ててマーク達は建物から出ていきました。
マークが出て行ったあと会員の1人が教祖に聞きました。
「あの者どもをこのままほっておいてよろしいのですか?我々の本当の目的を知られてしまうのでは?」
「ふん!そうなる前にあいつらには死んでもらうさ!このチタニアで事故にあったという形でな!」